スミガタケの戦い(2)
スナイパーライフルの光が見えた場所、私はそこにセメントで作った短刀を投げる。投げられた短刀は、スナイパーライフルのスコープを短刀で貫いていた。そして地面へと落ちるスナイパーライフル。
「……スナイパーライフル、だけですか」
そう、落ちたのはスナイパーライフルだけ。そこにセグウェイの姿は無かったのである。
そう言えば、セグウェイには銃を自由自在に操作する能力と言う物があった。それを使って自分の位置をかく乱していたと。
「……やってくれますね」
一応、もうこれ以上使われないように銃を曲げて発射出来ないようにしておいて、全体的にセメントでコーティングして置く。もう使えないように。
「――――――――止めてくれないかな? 一応、それ人間の身体で言う所の、私の骨に当たるんですけれども?」
そんなセグウェイの声が聞こえる。そして色々な場所からスコープの光が見えて来る。
「……種を見破りましたけれども、勝てる見込みはないですね。けれども私は、あなたを殺します」
私はそう言って、全身に薄いセメントの膜を張る。口や鼻には触れないようにぎりぎりの所までセメントを纏わせる。
「……セメント製のスーツです。これであなたの銃弾を防げますかね」
そう言って、私は一番スコープの光が多く見える目の前の場所に走り出す。
「うっ……開き直った奴ほど怖い者は無いよ」
セグウェイのそんな言葉と共に、銃弾がこっちに飛んで来る。けれども、その銃弾の全ては私のセメントのスーツで防がれていました。そしてそのまま見つけ出したスナイパーライフルを壊していた。そして先程と同じようにして、使えないように壊しておく。
(……こうすれば、いつかはセグウェイに辿り着く)
そう思いながら、ただひたすら壊して行く。
―――――――そして見えるだけのスコープを壊し終わったが、
「……どう言う事」
どこにも、あのセグウェイの姿は無かった。
「……何? あんな少ないスナイパーライフルであのセグウェイの身体は構成されていた、とでも? 他の銃とかもあるだろうし、それは無いでしょうね」
そんな事を思っていると、上から銃弾が発射される音。
「……上!?」
そう思って、私はすぐさま身体を捻るようにして、銃弾を避けて置く。地面へとめり込む銃弾。
セグウェイはそのまま、地面へと落ちて、
「――――――感情の無い私ですが、義理は果たさせて貰いましたよ。これから先はしなくても良いでしょ? 私が頼まれたのは、勝負だけですし」
そしてセグウェイは、そのまま地面を蹴ってそのまま森の奥へと帰ってしまう。
(拙い! このままだと逃げられる! ……使うとしたら、今この時!
――――――――――手伝って、ナナミ!)
その時、私は『奥の手』を使い――――――――――そしてそのセグウェイの身体を貫いていた。
「ま、まさか……君の能力って……。そして……君の正体は……」
「……喋らなくても良いよ。もうあなたは生き残れないんだから。
そう、もうね……。もう、何もかも、ね」
そして私はセグウェイの身体を、スミガタケの土地にセメントで埋めて置く。
「せめて……安らかに眠って置いてよ。セグウェイ。
ここにナナミは眠っていないけど」
私はそう言って、そのスミガタケを後にしたのであった。
【セグウェイ】
戦いはして逃げるつもりだったが、どうにも逃げ切れずに倒されてしまいましたとさ。