表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
207/266

スミガタケの戦い(1)

 墨で塗りたくられた黒い木が並ぶ森林、スミガタケ。そんな場所にセグウェイが投げた白い煙だけが辺りを包み込んでいた。



「……目くらましですか」



 と、そうとだけ言って私は白い煙から離れて、近くの木に隠れる。



 そして森に吹き込む風が白い煙を吹き飛ばして、吹き飛ばしたそこにはセグウェイの姿はなかった。



「……隠れましたか」



 まぁ、何も可笑しな事では無い。セグウェイの戦い方は銃を使った暗殺。わざわざ姿を見せると言う事自体があり得ない考えなのかも知れない。



「この戦いに意味なんてあるんでしょうか?」



 スミガタケの森に、いまいましいあいつの声が響いてくる。



「こんな事をしているよりかは、【魔王軍】のために働いている方がよっぽど良いと思うんですがね」



「……」



 私は前にこの場所で《盗んで》形を覚えていた、スナイパーライフルをセメントで作り上げる。そしてスコープを覗き込む。私のセメントで再現されたスナイパーライフルは、セメントとは思えないくらい鮮明に機能を使いこなしている。



「……良し」



 先程声のした方向をスコープで覗き込んで、私はセグウェイを探す。



(……セメントにしては、視界は良好。うむ、能力は何も問題はない。やっぱり武器でないから、ヒカロウとの戦いは苦戦したんでしょうね)



 物を《盗んで》、形をセメントで《作り出す》。機能まで再現するこの能力だが、やっぱり相性が悪いのはヒカロウだけなんでしょうね、と思いつつ、慌ててナギサは顔を大きく振る。



「……今はこの行為に集中する。ただそれだけに集中しよう」



 そう言って、私はスコープを覗き込む。相も変わらずセグウェイの姿はどこにも見えない。



 バキュン! と、銃弾がこちらへと向かって来る。私はそれを慌てて移動して避ける。私の居た場所に撃たれる銃弾。



「……避けられてしまったか。ならば、少し距離を取らせて貰いましょう」



 そう言いって聞こえるセグウェイの声と、彼女が移動した音。



(……暗殺はやはり、あっちの方が上ですか)



 あっちの方が暗殺が上で、しかも銃の技術に関してもセグウェイの方が上だと考えられる。ならば、暗殺ではなくて接近戦に持ち込むべきなのでしょう。



(イスカンダル邸にて、少し使ってしまったし、あんまり魔力に関しても回復していないですし。ならば私は、相手の距離を近付くしかないですね)



 私はそう思いつつ、身を(かが)めてセグウェイを探す。



 ……スナイパーライフルはもう使えないのかもしれない。だから、私はスナイパーライフルを投げ捨てて、代わりにセメントにて剣を作る。その剣にて草を斬りつつ、行動する。



「……しかし、どこに居るんだか?」



 けれども、確実にセグウェイはここで抹殺する。

 ……ナナミ・クジョウが殺された、この森にて。



「……少し時間を取り過ぎですかね。まぁ、少し距離を取りつつ、あなたを抹殺させていただきます」



 セグウェイの声がそう聞こえて来て、向こうの方で彼女の持つスナイパーライフルのスコープの光が見えていた気がした。



「……!」



 見つけた、あそこです!



「……よし、今度こそ捕まえますよ。セグウェイ!」



「……愚かですね。感情に任しても何も生まないと言うのに」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ