事態は進行していた
月裏さんがリリーベルさんとナギサさんが一緒に帰って来た。3人の元気が無かったので、「どうしたのか?」と聞いて見た所、どうも2つほど事件があったようである。
1つ目はナナミ・クジョウの死亡。
そして2つ目はそれを行ったのが、ミコト・デスルードに化けたセグウェイというモンスターであり、ユウトとワルダックの2人を連れて帰ったらしいのだ。
「恐らく……【勇者軍】は今が好機と見て、こちらに襲い掛かってくるでしょう。なにせ、四天王のうちミコト・デスルードとナナミ・クジョウが死亡していて、戦力が大幅ダウン。【魔王】の私、リリーベル・フランベルを討ち取るのは今しかない、ってね」
リリーベルさんはどうしようかなと思いつつ、「はぁ……」と溜息を吐く。こっちも九字の印の2つはナギサ・カワサキが持っており、試練をクリア出来ないと渡さないとこんな状況でも言っているからだ。
「……神様に聞いたら、『試練をクリアできない内は渡すな』とお達しが」
神様に見られているらしく、やっぱり渡せないんだそうだ。その【烈】の印を使えば、今猛毒で倒れているユリーを治せるんだそうだが、そればっかりはどうにもこうにも……。
「あ、あの~……」
と、考え込んでいると恐る恐る月裏さんが手を挙げる。その手の中にはなんと、虹色の魔力が入っているガラス球があった。
「「「え~!?」」」
僕、紅葉、リリーベルさんが驚いているうちに、それを見たナギサが
「……うん、OK。はい、渡しておきます」
と【烈】の印を月裏さんに渡す。月裏さんは僕達の方を、もっと言えば僕達の説明を求むと言った顔に、「うっ……」と戸惑い、
「わ、わ、渡してきます~!」
と言って物凄い勢いで出て行った。
【朝比奈揺 Lv.30 種族;人間 職業;神殺しの二剣流 HP;750/750 MP;590/590 加護;ルルリエルの加護
姫 Lv.28 種族;獣人(狸族と狐族のハーフ) 職業;禁呪術師 HP;550/550 MP;850/850
△【烈の尻尾】を手に入れました
紅葉 Lv.28 種族;リッチ 職業;希望の魔法使い HP;141/141 MP;8500/8500
ユリエル・アトラシ Lv.28 種族;人間 職業;二刀流 HP;290/560 MP;320/320
月裏 Lv.24 種族;変化の不死鳥 職業;拳士 Hp;320/320 MP;790/790】
そのすぐ後に確認したステータスで、ユリーのステータスから猛毒が無くなっており、さらに姫に【烈の尻尾】のスキルを確認出来た事で僕達は一応の落ち着きを見せた。これで安心である。相も変わらず、月裏さんはどうやってこの試練をクリア出来たのかは教えてくれず、ただ「ごめんなさい……ごめんなさい……ラキナエルは朝比奈さんに褒められたかったんです……頭を撫でてもらいたかったんです……」とえらく落ち込んでおり、紅葉が
「慰めた方が良いのでは……?」
と僕に言うので、「よしよ~し」と言って頭を撫でると、
「あ、あの……////// 嬉しいんですが、恥ずかしいです//////」
と顔を赤らめて、炎の翼を燃え上がらせながらそう言うので、僕は「あ、熱い……!」と思いつつ、頭を撫で続けていた。
「では、最後に【在】の印を渡せば姫さんは一応は完全な状態になるのですね? 紅葉さん?」
リリーベルさんがそう、紅葉と話を振り、紅葉も頷きながらナギサさんの方を見る。
「はい、ですので、ナギサさん、やってくれませんか?
最後の―――――――九字の印、【在】の印を渡すための試練とやらを」
その問いに、ナギサさんは強く頷く。
「良いでしょう。ただし、そう簡単にクリア出来る試練とは思わないでくださいね。【伝説の魔力球の試練】と違って、これは頭の発想の転換だけではクリア出来ない試練なのですから。
九字の印、実質最後の印である【在】を渡すための試練。
試練名は【戦女神の対決の試練】。試練内容は【クジョウ・ナギサ】の二人に勝利する事」
【戦女神の対決の試練】
相手が倒れて気絶するか、死ぬかのどちらかでしか勝敗が決しない、至ってシンプルな試練。試練に対して、特に複雑な条件やルールは存在しない。
敵は【クジョウ・ナギサ】の2人組(?)。