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余り物には……福がある?  作者: アッキ@瓶の蓋。
ふたりはナギサ・クジョウ
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ナギサ・クジョウの2人

 【魔王】リリーベル・フランベルの軍勢の中で【ナギサ・クジョウ】と言う奴は確かに居た。しかし、そいつら(・・・・)は2人組だった。



「改めて紹介に預かり奉りましてこんにちはー! 【ナギサ・クジョウ】のナナミ・クジョウだよー!」



「……【ナギサ・クジョウ】のナギサ・カワサキ」



 そうやって黒塔都市サルファイアにて魔王であるリリーベル・フランベルを頼んだ奴らこそ【ナギサ・クジョウ】の2人組だった。

 ナナミ・クジョウと名乗った方は桃色の腰まで伸びる長い髪から大きな兎耳を生やしたナイスバディのボンテージ服を着た女性。常にニコヤカな笑みを浮かべており、僕達がリリーベルの知り合いだと言う言葉をすぐさま信じて僕達の案内を買って出た人物である。

 ナギサ・カワサキは黒いショートヘアーの上に犬耳を生やしたマフラーを巻いた冬服姿の少女。人形のような顔で、小柄ながらこちらをじっと見つめている。



(あの【オペラ】が言っていたのはこの2人だよな……)



 と、僕は案内されながら彼女達には聞こえない声で皆に言う。これは紅葉の魔法であり、パーティーにしか聞こえない呪文で会話を行っているのである。



 『ナギサ・クジョウは2人組』。



 これは【萌え殺し】をする【仮面殺しの死神】、【オペラ】が半ば悔し紛れに残した情報であり、それは真実だった。しかし、崩壊した3年後の世界にてナギサ・クジョウと言うモンスターに会っている僕達からしたら違和感を覚える事だった。



(やっぱり! ナギサの方が、九字の印を持ってる! そして、ナナミの方は普通の人間!)



(モンスター……ではないようです)



 どうやら目的である九字の印はナギサ・カワサキの方が持っているらしい。しかも、ナナミ・クジョウの方はどうもただの人間との事だ。



(……どう言う事? あのクジョウは人間、なのよね? じゃあ、3年後の世界で私達があったナギサ・クジョウは?)



(わ、分かりません。でも……あのナギサさんから九字の印を返して貰えれば、姫ちゃんの九字の印は8個揃って、9個目も現れる)



 そう、それは3年後の崩落した世界にて、ナギサ・クジョウが言っていた事。しかし、今のナギサ・クジョウとは面識がないからどうしようかと思っていたが、まさか2人組だったなんて……。



「しかし、あれですな! あれ! うちの大将にこんな豊かな助っ人が居るだなんて! これで【反逆勇者】である豆羽ユウトに勝利出来るよ!」



「「「「「……!」」」」」



 ナナミさんの言葉に僕達の足が一瞬止まる。そう、世界は滅ぼされなかったが、それでも歴史は一緒なのだ。



 犯罪都市ローグレを本拠地とする【反逆勇者】、豆羽ユウトが率いる勇者軍。

 黒塔都市サルファイアを本拠地とする【魔王】、リリーベル・フランベルが率いる魔王軍。

 聖水都市アクアフォールを本拠地とする【教会騎士団筆頭】のイスルギ率いる教会軍。



 3つの都市と3つの軍が互いに互いを滅ぼし合っている。規模はまだまだ小さいが、この先大きくなる可能性を秘めている。

 【ナギサ・クジョウ】の2人は勇者軍から逃げて来たのを魔王軍に助けられて今に至ると言う流れであり、魔王軍には似たような境遇の人たちが大勢居る。恐らく残り2つも同じような物なのだろう。



(戦争……か。一気に臭い展開になってしまった)



 それもこれも、豆羽ユウトのせいだ。彼さえ倒せば後はなし崩し的に世界は丸く収まる。魔王軍もそう思い、勇者軍に人を送っているが、まだまだ戦力が足りないらしい。僕達はそんな時に現れた救援とでも言うべきか。



 そう考え込んでいると、



「……良く来たね、朝比奈君達」



 と、金色の髪をウエーブにまとめ上げ、黒いローブに身を包んだ美女、【魔王】であるリリーベル・フランベルはそう言って僕達を快く迎えてくれた。

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