再戦・アイスバーン
目を覚まして初めに視界に映ったのは、雲一つない青空だった。
辺りを見渡すと、そこには何も無かった。いや、建物がと言うべきだろうか。
壊している途中の建物や、作りがけの建物も。作られていた建物も。船も、店も、舗装された道路も。全てが、文明の産物である物はどこにも無かった。装備や服、アイテムなどは大丈夫だったけれども、それ以外のこのテセウスの建物を思わせる物は何も無かった。
うん、思い出す限りさして差はない。
そして、僕の前に彼女が現れる。
3年後に世界を滅ぼす、発展と衰退を操る魔の生物。アイスローカル・バーンアーバンは「残念です」と言いつつ、5つの赤い実、【修練の実】を取り出す。
「はい。あなた方の勝ちですね。まさか途中で姫さん達も起きるなんて予想外。でも、負けは負けですね。
では、あなた方には【多次元相撲の試練】の報酬といたしまして修練度を一気に上げる皆様分の【修練の実】をプレゼント……」
彼女はそう言いながら、立っている僕と4人に【修練の実】を渡して来る。
なるほど、ここからね。つまり、僕の最初の記憶との差異は僕達が3年後の世界の現状を知っていると言う事。そして姫、紅葉、ユリー、月裏さんの4人が気絶せずに立っていると言う事。
そして僕達はお互いにお互いを顔を合わせ、頷く。
これは世界を救うための戦い。滅亡した世界にしないために、このアイスバーンを倒さないと行けない。
僕達はそう思いつつ、【修練の実】をそれぞれ口にする。口にすると共に身体の中が熱くたぎって来る。そして僕の中で何かが弾け、明らかに成長した気がする。そして成長した僕達はアイスバーンに対して戦闘の意思を表し、
『さぁ……勝負だ! 僕達は貴様を倒す!』
そう言う僕達に対して、
「……。君達、どうしてそこまで戦いに積極的なの? しかも、【修練の実】を使って戦うの?
まぁ、良いですね。では、早く倒すとしますかね?
―――――――ルール上殺害ありの戦闘で勝負しましょう」
そう言って、彼女は真の姿であるモスキートの姿になって、僕達と勝負する為に武器である銃を構える。
「さぁ、ルール上生死を争う、そう言った勝負を繰り広げましょう。
――――――喰らえ、発展形態銃発射!」
そう言いつつ、彼女は能力で発展させた銃弾を銃に入れて、そのままアイスバーンは向かって来た。