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余り物には……福がある?  作者: アッキ@瓶の蓋。
ミス・アイスバーン
172/266

蚊退治

「ルールの中ならば、何をしても構わない。ルールを破る者には死を。それがこの私、アイスバーンさんの信念なんだよ」



 蚊のような羽を羽ばたかせながら、両腕に付いた蚊のような長い口を伸ばした彼女はそう言いながらニコリと笑っていた。



「それって、ただ自分がやりたい事をやるために都合の良いルールを提示してるだけじゃないか!」



 僕はそう言って、地面を蹴って跳んでアイスバーンの元へ跳ぶ。



「違うんだよ、ちゃんとルールは守る。それが私の信念なんですよ。先程の試合では足の裏以外の身体の部分は地面にぶつけてはいけないと言うルールがあった。だから、ちゃんと守って戦っていたんですよ、私は。

 けど、そのルールは今はないんだから。もっと注意しないといけないね」



 そう言うと共に、アイスバーンはいきなり羽を使って高度を下げる。そして足から伸びた長い口が物凄い勢いで地面へと向かって行く。そして地面へと長い口は地面へとぶっ刺される。



(何をする気だ?)



 その答えはすぐに判明した。僕のすぐ真下の地面から、大きな物体が物凄い勢いで僕へと向かって来たのだ。



「建物急速発展」



 そしてその建物は僕の身体を吹き飛ばしていた。



「ぐっ……!」



 僕は急速に高さを増す建物に吹っ飛ばされて、宙を舞う。



「今までは血を地面に流して発展と衰退をやっていたから、直接触っていた銃弾よりも時間がかかってしまいました。しかし、今は蚊の能力をフルに使っていますからね。急速な発展も、そして―――――――」



 と、建物に剣を突き立てて体勢を整えようとしていた僕だったが、その建物がいきなり霧散して消えていった。



「――――――――今の私なら、急速な衰退も思いのまま」



 そう言いつつ、彼女は僕の身体より高い位置まで一気に飛び、そのまま僕の方へと一直線に飛んで来た。そしてそのまま僕の身体を的確に左足にて蹴ろうとしている。



(このままだと、あの蚊のような長い口に身体を貫かれる!)



 僕は慌てて、聖剣にてその攻撃を防ごうとあがく。そして僕は彼女の左足の蹴りを聖剣にて跳ね返す。



「やった……!」



「甘いね」



 アイスバーンはそう言い、僕の身体に右腕をその蚊のような長い口ごとぶっこんだ。



「ぐふっ……!」



「左足の蹴りが防がれるのは容易に想像出来ましたので、こちらの方で攻撃をさせていただきました。そして、見事右腕とこの【蚊口(かくち)】はあなたの身体に入りました!」



「それがなんだと……」



 アイスバーンに聞く前に僕の身体が中から熱くなっていく。まるで全身が発火していくようなそんな感覚がしてくる。



「私の文明を衰退させる能力と、発展させる能力の両方を持つけれども、その能力をどうやってやっているか。それは私の熱い血液と冷えた血液の両方を持っているんですよ。そしてその両方を無機物に流し込む事で、文明を発展させる能力と衰退させる能力のどちらも使っている」



 彼女の言葉に僕は考え込む。どう言う事だ、なんで彼女はいきなり自身の能力を説明し始めたんだ? そして身体が燃えるように熱くなっている事と、それは関係しているんだろうか?



(熱い血液と……冷えた血液? でも、その能力は無機物に左右されているはずなのに、どうして僕に直接流し込む……?)



「そして、【蚊口】は直接私の血液を流し込む能力。さて、この能力を使って私の燃えるような血液を流し込んだらどうなるんでしょう?」



 その言葉に僕はハッとする。

 燃えるように熱くなっている体温。そして熱い血液を直接流し込む。



「もしかして……僕の身体は……」



 僕が言う前に、僕の身体が発火する。



「名付けて、発火血液」



 そして彼女は僕の身体から腕を抜いて、蹴って地面に投げ落とす。



 あ、熱い……! 文字通り、身体が燃えている! 身体が熱い……!



「良かったね。これが【多次元相撲の試練】だったら負けでしたよ」



 そう言いながら、アイスバーンは【蚊口】を僕の身体にぶっ刺す。



「今度は冷える血液を注入してみようかな?」



 そう言って、彼女は【蚊口】から冷える血液を注入したようで、僕はどんどん火が消えて行き、今度は急速的に身体が冷えて行く。



(さ、寒い……! さっきと逆で寒い! 寒い!)



 そして僕はそのまま冷える血液を注入され、身体が凍り付いてしまった。

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