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余り物には……福がある?  作者: アッキ@瓶の蓋。
ミス・アイスバーン
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ルール外戦闘準備

 ―――――君に問おう。もし仮に、勝負で敗けたとして。あなたはそれを「はい、敗北ですね」と受け入れる事が出来ますか? 私、アイスローカル・バーンアーバンは受け入れる事が出来ない方の生き物です。



「はい。あなた方の勝ちですね」



 と、アイスバーンさんはそう言って「はいはい、あなた方の勝ちです。良かったですね」と若干投げやりな感じに言っていた。

 なんだか呆気なさすぎる。こんな廃墟の街を作りだしておいて……と言うより、これじゃあ当初の目的地であったシチュユリの船も出ないんじゃないだろうか?



「では、あなた方には【多次元相撲の試練】の報酬といたしまして修練度を一気に上げる皆様分の【修練の実】をプレゼント……」



「しょぼっ……!?」



 と、僕は思わず言ってしまい、きょとんとした様子のアイスバーンさん。



「えっ? だって、私はかなり譲歩しましたよね? 【多次元相撲の試練】は5回中1回だけ勝てばいい条件で、しかも地面に足の裏以外をぶつけるなんて言ういい条件。それにこれはこれでかなり良い物なんですが」



 確かにそうだろうが、試練に対してあまりにも割合が取れないと言うか……!



「まぁ、これは私が普通に地面に叩き落とされた場合の商品でしたしね。もしも、私を倒せればこの街も復活、さらに”これ”も差し上げるつもりだったんだけどなー」



 と言って、彼女は笑いながら何かを取り出した。それは【皆】、【陣】と言う文字が書かれた2つのリンゴだった。



「それは……もしかして姫の尻尾の……」



「飼育の神の主神である豆羽ミラキジェスさんが取り出して、この知恵の実に埋め込んでおいた物です。もしかして使うかと思って用意しておきました」



 それはきっと、姫に必要な物だ。今、姫が手に入れた九字の印は『臨』、『兵』、『闘』、『者』の4文字。4つも能力を持っている彼女ではあるけれども、そのうちの残り5つのうち2つも彼女が持っているだなんて……。



「彼女は危険なんですよ。ルール上、彼女は九字の印を揃えてはいけない。だから、私と一緒に降りた彼女が【烈】と【在】を守護しているのだし……。8つ揃ってしまうと、彼女は【前】まで取り戻すし……」



 それってもしかして、姫の残りの能力のうち【前】を除いた4つ、【皆】、【陣】、【烈】、【在】は飼育の神の主神である豆羽ミラキジェスによってあのリンゴのような物に封印され、【皆】と【陣】はアイスバーンさんが、そして【烈】と【在】の2つはどこかの誰かが持っていると言う事か。その4つを取り返せない限り、姫の九字の印は揃わないと言う事か……。



(と言うか、どうしてそこまで姫の九字の印を揃わせたくない、あるいは【前】の能力を使わせたくないんだろうか? 確か前世の、両親の能力を得ると言うのが姫の九字の印の能力だったはず……。そこまで危険なのか?)



「さて、朝比奈揺君。ここでお知らせです」



 と、アイスバーンさんは親しげに話しかけて来た。



「これよりこの【皆】と【陣】の2つのリンゴをかけた私的な戦闘を行いたく思います。勝利条件は相手を殺害する事、敗北条件はこの街から逃げ出す事、もしくは相手に殺害される事。

 勿論、テセウスも戻す事も出来ますね。なにせ、私の能力でこうなっているだけで、私が死ねばこの街も元通りになるのですから」



「……ルールの中で僕を殺したいと?」



「えぇ、私、そこまで人間が出来てないんですよね。なにせ、モンスターですし」



 そう言った彼女の身体が変形し始める。

 背中から羽が生えはじめ、そして両腕と両足から蚊の口のような長い口が出て来る。



「アイスローカル・バーンアーバン、タイプ・モスキート! これこそが私の真の姿。流石に先程の『闇』の引力で上げた足を取られたような攻撃は、なかなか認められないんですよ。私、こう見えて熱血系なので。

 でも、ルールに従わないといけませんし。ですので、拒否するならどうぞご勝手に」



 そう言う彼女の質問に答えるように、僕は聖剣と大剣を握りしめる。



「この街の人達を、そしてこの街をこんな事にしておいて……。さらに勝負に不服があるから、もう1度戦いを挑むだなんてかなり緩いルール好きだな」



「いえ。ルールは守るべきなのです。ですが、ルールは守りますが、怒りと言うのはどうしても出てしまう物なのですよ。

 ですので、ルール上殺害ありの戦闘で勝負したいんですよ。私は」



 「あっ、そうなの」と僕はこの矛盾だらけの蚊の化け物に戦いを挑む事にした。決着を付けよう、アイスバーン!

【アイスローカル・バーンアーバン タイプ・モスキート】

 アイスバーンさんの真の姿。元々、人間であった彼女に蚊のモンスターを埋め込む事でモンスターになったため、この姿が正しい。身体中にはマグマのように熱い熱血と、氷河のように冷たい冷血があり、蚊のような口から物体に流し込む事によって、文明を発展、衰退させている。熱血を送り込むと文明が発展、冷血を送り込むと文明が衰退する。

 そんなあやふやな血液が流れているため、クールな状態から一気に熱い好戦的な性格になる。



【【烈】と【在】を持つモンスター】

 行方不明。この世界のどこかに居る模様。

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