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余り物には……福がある?  作者: アッキ@瓶の蓋。
ミス・アイスバーン
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テセウスの謎

 紅葉が破れ、残る戦いは6日中3回となった。

 それをまだ3回もあると見るか、それともあと3回しかないと見るかは僕達の心の持ちようにも関係して来るだろうが、それでも色々と掴めてきた。



 まず、地面や海面を物体にして攻撃する場合、それでも勝利条件を満たすと言う事。

 重量級の装備は逆に不利だと言う事。

 この前は近距離攻撃ばかりで近距離攻撃だけかと思いきや、銃を使った遠距離攻撃も可能だと言う事。



 ――――――そして一番の問題は、”未だ敵の能力が分からない事”。



「あの銃弾、魔力に反応して阻害する銃弾だったんですが……」



 と、あの勝負に負けた後、水の壁を破壊した銃弾を調べた紅葉がそう報告して来るのだが、何か歯切れが悪い。



「……何か気になる事でも?」



 ユリーが聞くと、「これ、銃弾なんです」と紅葉は当たり前の事を答えた。



「え、えっと、最初から銃弾を発射してましたよね? でしたら、べ、別に可笑しな所はないんじゃ……」



「これ、1発だけの銃弾なんです。散弾銃(・・・)ではありません」



 と、月裏さんが言った事に紅葉は答える。あの後、あれが散弾銃であるから、銃弾はいくつにも分散していると想定して、紅葉は辺りを魔法にて探ったのだが、結局見つかったのは地面に埋まっていたこの1発の銃弾のみ。



「後はこの件には関係ない物ばかりでした。

 壊れた鉄塔の破片、腐った建物の板、動かなくなった機械……古くなった建物を処分に困って、地面に埋めたと言う感じでしょうか?

 古い街並みを壊しつつ、新しい街並みを作って行くこの増設港街テセウスからしたら、可笑しな事では無いかと」



 紅葉はそう答える。

 一応、僕や姫、ユリーで他の近くの建物や地面、空から月裏さんが他に手がかりがないかと、宿屋に帰るまで探っていたが、結局有力な手がかりとなりそうな物は発見出来なかった。




 ――――――そして今、僕達は、

 ――――――街の住人の手によって、

 ――――――宿屋にて縄を縛られて動けない状況になっています。



(どう言う事、これ?)



「すまない、事は一刻を争う。君達を代理として戦わせるのはルール違反だからな。君達には情報だけ与える。それならばルール違反じゃないだろう」



 と、いかにも切羽詰まった状況で話しかけて来たのは20歳くらいの若い、切れ長の瞳が特徴的な女性だ。その身体には薄緑色の甲冑を纏っており、その手には金色の星の形の手裏剣のような物を持っている。周りに居る連中も身体中を武器で固めた人達。話を聞くと、この街の守護を任されている兵士の中でも精鋭連中ばかりらしい。最も、前に居たこの者達よりも腕が立つ連中は、もうこの世に居ないらしいが。

 そんな彼らは自らの手で縄を縛って動けなくした状態の僕達に、お願いしますと言った感じで頭を下げている。



 正直、こんな仕打ちをしておいて、お願いと言うのは果たしてどうなのだろうか?



「すまない。でも、君達がもしこの話を聞いてあいつに、アイスバーンさんに挑みに行ったら、我々はルール違反によって殺される。だから、君達には『たまたま敵に捕まって得た情報』と言う形で話を聞いて欲しいのだ。それならば、君達は仲間として招き入れたと言うルールから外れる」



「さ、さっきからルール違反とかルールとか、どう言う事ですか? それはあのアイスバーンさんと何か関係があるんですか?」



 と、僕が聞くと切れ長の瞳の女性(どうやら彼女がリーダーらしい)は頭を下げて肯定の意思を見せる。



「アイスバーンさん。彼女はかれこれ約20年前にやって来て、この増設港街テセウスを作り上げたとされる魔物であり、



 ―――――――我々が倒さなければならない敵だ」

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