豆羽ユウトの剣術(2)
「【ユウト】のこの攻撃は防げまい! 我流十六夜流、ダークヒーロー・月食斬り!」
ユウトはそう言って、両腕の黒いレイピアを振るう。振るった先から今度は黒い球体と白い球体、2つの球体が生まれる。そして黒い球が白い球を追うようにしてこちらに向かって来る。
(今度は2つ……流石に先程のように受け止めきれないし、受け止めたとしても先程のように攻撃を変化させられるだけだ)
ならば、近づかなければ良い。
僕は土の魔法で、目の前の地面に大きな壁を作り出し、その2つの球体を遮った。
「今だ!」
僕はそう言って、さらに土の壁を魔法で変形させて黒い球体と白い球体のどちらにもその鋭く尖らせた土の槍で貫く。
(―――――――――これで良いか)
僕はそう言いながら、土の壁を解除―――――いや、狙っている場合も考えて大剣と聖剣のどちらも構えながら土の壁を迂回する。そして数多の黒と白の針が壁に刺さっていた。
「土、か。なかなか良いですな。『ダークヒーロー・月食斬り』、いや『ダークヒーロー・針の歌』も効かなかったか。遠距離攻撃ではやはり限界があるな。ならば、【ユウト】は近距離攻撃でしか方法がない」
ユウトはそう言い、黒いレイピアに魔力を纏わせてそのまま向かって来る。
「途中変化は本来、臨機応変に変えていくのがセオリー。だから、今までのような遠距離よりも、【ユウト】の我流十六夜流は近距離でこそ、その効果を発揮するのだ!」
そう言って、ユウトはこちらに向かって跳んだ。
「我流十六夜流、十字斬り!」
ユウトはそう言って、両腕のレイピアを十字になるように重ねて斬りかかって来る。
「―――――二剣流、防ぎ斬り!」
僕も同じように聖剣と大剣を重ねてその十字に重なったレイピアを防いでいく。この技は防いだ後、そのまま相手の攻撃を弾いてそのまま斬る技だ。攻撃が当たった瞬間、僕は弾いて斬りかかる。
「――――――及び、ダークヒーロー・合わせ斬り!」
しかし、相手もそれを見切っていたように僕の太刀筋に合わせるようにして斬りかかる。
「――――――さらに、ダークヒーロー・炎斬り!」
そして、彼はさらに魔力を炎に変えてレイピアに纏わせてそのまま斬って来る。
(3回!?)
僕はそう思いつつも、聖剣と大剣の両方を使った二剣流は攻撃力の代わりに動作が遅いのが欠点――――故に防ぎきれない。
「――――――間に合わない!」
僕はそのまま炎の太刀筋に斬られ、身体が発火する。
「―――――熱ッ!」
僕はそう言って、急いで聖剣をしまって二剣流を解除して置いて、速度を上げてさらに地面を蹴って後ろに跳ぶ。
(そうか、別に変更出来るのは1回ではないと言う事か)
なかなか気を付けないといけないみたいである。一筋縄ではいかないと言う事か。
何か突破口を見つけないといけないみたいである。
他の皆も心配だし……。
「さぁ、ゲームは、【ユウト】とのゲームはこれからだよ」
こっちも何とかしないと……。