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余り物には……福がある?  作者: アッキ@瓶の蓋。
はずれ勇者の外道美学
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豆羽ユウトの剣術

 16分割されたユウトの身体がどんどん再構成されていく。

 頭から身体が生まれて。右部分から左半身が現れる。左部分から右半身が現れる。目から顔が出来て来た。そして16分割された身体が16人のユウトになっていった。1人は両腕に黒いレイピアを持った状態で、他の15人は素手で構えている状況だった。それでも圧倒的な恐怖は感じられた。



「15人抜刀せよ」



『あい、分かった』



 黒いレイピアを持ったユウトが、他のユウト達は横に居たユウトの(・・・・)身体に(・・・)手を(・・)突っ込んだ(・・・・・)。そしてその全員の手には別のユウトの背骨を掴んでいた。



「背骨……ですか? 何をする気でしょう?」



 そしてその背骨は魔力によって、白いレイピアへと変わって行く。そしてそのレイピアを2つに分裂させて両腕に持っていた。



「この15の【ユウト】は、ただの分裂体にしか過ぎない。敢えて名前を付けるとすれば、アナザー・D()・ユウトとでも名付けようか? 要するに【ユウト】であって【ユウト】でないんだよ。けどまぁ……」



 そう言いながら黒いレイピアを持ったユウトは、他の白いレイピアを持ったアナザー・D・ユウト達はそのレイピアを構える。



「アサヒナ・ユラギを倒すために、邪魔な仲間さんの足止め用ですかね」



 そう言って、アナザー・D・ユウト達は姫、紅葉、ユリー、月裏さん達に向かって行った。そして彼女達を僕から離れた場所に飛ばして行った。



「これこそ、【因豆羽分解(いんずうぶんかい)】の極意。多人数に分裂して邪魔者をどけさせる。また多人数によって1人を甚振いたぶる。多人数を使って圧倒的に有利な状況に。これこそ、人数の暴力なり」



 そして彼は、黒いレイピアを持った本物のユウトはと言うと、僕の眼の前に立った状態でこちらを睨みつけていた。



「16人だから十六夜流かと思っていたんだけれども、その姿だと普通に二剣流だと思うんだが……」



「いやいや。十六夜流は決して人数に関係した流派ではないんだよ」



 ユウトはそう言い、両腕に持った黒いレイピアを頭上にかかげて、そのまま頭上で溜める。



「『十六夜』とは、『ためらう』や『躊躇(ちゅうちょ)する』などの意味を持つ動詞、『いざよう』の連用形。それが名詞化された単語、それが『十六夜』である。

 それ故に【ユウト】が使う『十六夜流』は、『ためらう』剣技である」



「『ためらう』剣技……?」



 どう言う意味か分からないでいると、ユウトはそのままレイピアを振るう。



「―――――我流十六夜流、ダークヒーロー・満月斬り!」



 ユウトの黒いレイピアから丸い円状の衝撃波を生んで、そのまま発射する。それは物凄い速度で飛ばされ、僕の方に飛んで来る。



「ただの円状になった衝撃波、か……」



 僕は大剣と聖剣のどちらにも闇を纏わせて、僕はその丸い円状の衝撃波を弾き飛ばそうと両方の剣をぶつける。しかし、その衝撃波は重く両方の剣を押し返そうとのしかかって来る。どうにかして防ごうとしても弾き飛ばす事は出来ず、ただただのしかかるだけである。



「――――そのまま、我流十六夜流、ダークヒーロー・斬り斬り撃」



 そしてその丸い円状の衝撃波がいきなり弾け飛んで、数多の斬撃に変わってそのまま僕に降り注いで来た。



「くっ……!」



 そして衝撃波は数多の斬撃になって、僕の身体を斬って行く。



「これは……」



「これこそ、【ユウト】の我流十六夜流。敵の懐まで(とど)めを『躊躇して』、そしてそこで本来の攻撃に変換する。相手は最初の攻撃でガードが緩んで隙が出来ている時に、その場ですぐに攻撃を変えれば防げない」



 「これこそが我流十六夜流だ!」と言いながら、ユウトはまたしても丸い円状の衝撃波を放つ。

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