表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
余り物には……福がある?  作者: アッキ@瓶の蓋。
魔王と勇者と朝比奈揺
134/266

姫と勇者

「もうしばらくは巨大系のモンスターは見たくないな……」



 と、ヒメハジメの街の『鋼の城』のギルド支部に辿り着いて、僕は机に突っ伏していた。



 巨大猪、巨大ゴーレム、巨大樹木モンスターと連続して来たのだが、それだけではなく巨大系のモンスターが連続して登場していた。巨大スライム、巨大鳥、巨大ゴブリンが戦闘を仕掛けて来たけれども……巨大猪達のように途中で逃げ出していた。おかげで経験値も入らず、ただただ疲れるだけで終わってしまって本当に不完全燃焼で終わってしまっている。



「そうですね、巨大モンスターは何か目論見があって増えているんでしょうね」



「デカいの! 逃げてばっか……つまんない!」



 姫と紅葉も疲れて机に倒れている。ユリー、月裏さんの2人は声に出せないくらいなまでに疲れ切ってしまって、椅子に座りこんでしまっている。



「……ともかく、逃げ切った……と言うよりかは逃げてくれたから良かった」



 と思ってはいるが、どうにもなにかありそうな気がするんだよな。まるであの巨大モンスター達は、僕達に殺されないように逃げているように思えた。



(あの巨大モンスター達は”誰かに(・・・)倒される(・・・・)ように(・・・)出て来た(・・・・)気がする(・・・・)”)



 あのモンスター達は冒険者に、人に見られるように道に出て来た。あれは恐らく誰かと戦いたかったんだろう。

 そしてそれは多分、僕達ではないのだ。だからこそあの巨大モンスター達は逃げ出したのだ。そう考えるとあのモンスター達は誰が倒すべき相手だったのだろう?



「あんな巨大なモンスターを倒す、か?」



「も、もしかして朝比奈さんはあれは何かの試練だったと言う事だと言いたいのでしょうか?」



 月裏さんが僕の言葉に反応して考え込む。



「確かに……あ、あんなに巨大なモンスターが統率が取れているって考えてみたら可笑しいです。神様の試練っぽいです」



「神様の試練っぽい……? 僕が言うのも何だけれども、統率が取れているから試練と言うのは考えすぎじゃないかな?」



 疑問を持ったのは確かに僕だけれども、流石にそれだけで神様の試練と断定は出来ないんだけれども。



「これだけの巨大なモンスター、しかもかなりの数を用意しています……。ここまでの規模の試練を用意出来る試練の神様は、主神である日向ラファエルさんでしょうね。

 けれども、不思議ですね……」



「不思議……? どう言う所が不思議なんですか?」



「日向ラファエルさんは、その人が出来る試練しか出さないんです。そもそも試練とは、日向ラファエルさんが言うに、その者がクリア出来る範囲内で試練を出しています。ですから、この試練を出してもクリア出来ると思われる物でしか試練は出しません」



 つまりは、クリア出来ると確信出来る事でしか試練は与えないと言う事か。



「……まぁ、他の試練の神よりも要求レベルが高いんですけれども。それでも他の試練の神と同じで、その人の出来る範囲内でと言う部分は変わりませんが。

 だ、だから可笑しいんですよ。あんな膨大な数の巨大モンスターと戦うのを試練として予定されているような人間なんて……それこそ英雄的な立場の人の試練ならば考えない事も無いですね」



「英雄……ね」



 と言うか、これ以上考えても無駄だなと思いつつ、僕は突っ伏して寝ようと思っていたら、声がかけられた。



「もしかして、朝比奈揺さんですか? 探してたんですよ」



 知らない男性の声である。

 顔を上げると2人の男女が居た。白と金色の二色の騎士の服を着た金色の髪の優しそうな顔をしたイケメンの男性、そして深緑色のローブを羽織った同じく金色の髪のキツイ目つきをした女性の2人組。



「探してたんだ、朝比奈揺君。個人的にね。ボクはユウト・フランベル。こっちは姉さんのリリーベル・フランベル」



「こんにちは」



 と、イケメン男性のユウト・フランベルの紹介に、キツイ目をした女性、リリーベル・フランベルは頭を下げていた。



「はぁ……。で、何の用なんですか? ユウトさん?」



 僕に用みたいなんだが、彼らとは初対面だし、いったい何の用なんだか?



「まぁ、朝比奈揺さんに用があるのは事実なんだけれども、本当に用があるのは君じゃないんだよ」



「ん……?」



 どう言う事だ、と思っていると彼は、ユウトはトコトコと歩いて姫の所にやって来る。



「むっ……。誰?」



 姫は誰か来たのかを察知したのか、顔を上げる。



「あなたが姫さんですね。なるほど、タヌキツネとはこの事か……」



 ふむふむと、意味ありげに言うユウト。そして彼女は片膝を付いて、姫を見つめる。

 そしてイケメンの優しい顔をした彼は、優しい表情で姫に(ささや)く。









「姫さん、ボクと結婚していただけませんか?」



 その言葉に皆の顔が引きつっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ