謎の巨大魔物達
僕は『古ぼけた刀剣』を、そしてユリーが『古ぼけた杖』を持ってヒメハジメの街へと旅を進める。紅葉は先の先約通り、月裏さんによって運ばれている。結局、姫は僕に乗らずに、そのまま歩く事にした。あのまま乗っていてはユリーに乗られる危険性もある事に気づき、結局はそのまま歩く事にしたようだ。
それよりも重要なのは目の前に現れた、巨大な魔物達である。
「ブオオオオオ……」
「コオオオオオオ……」
目の前に居るのは、身の丈5mはあろうかと言う巨大な猪とその倍はあろうかと言う巨大なゴーレムだ。そして周りにはそいつにらには及ばないにしても3mほどはありそうな巨大な動く木のモンスター。
巨大な猪は全身を土色に染めた人並みの大きさを持つ牙をもつ猪、ゴーレムは全身を濃い緑色の苔のような物に覆われた岩で出来た巨大なゴーレム。木のモンスターは幹に顔が付けられた枯葉で覆われたモンスター。
「この前のシルバーカシラウルフと言い、どうしてこんな巨大なモンスターとばかりが戦いをやっておくんだか……」
僕はそう言いながら、大剣・無銘と聖剣・ヒカリの2つの剣を構える。
「デカい! デカい奴ばかり!」
「魔力の異常現象なのでしょうか、これは?」
姫は魔法のJを投げ、紅葉は世界樹の杖を使って魔法を作り出して放つ。魔法のJは巨大樹の一群に飛び、火炎を纏って巨大樹を燃やす。紅葉は世界樹の杖で火炎の球を作り出して、その火炎の球を発射した。
「ブオオオオオオ……!」
「……じゃあ、私はこれで」
ユリーは火炎を纏った長刀・ボルケーノを放って、巨大猪を燃やし、長刀・アイスバーグを構えている。
「じゃあ、僕と月裏さんはこの一際大きいゴーレムの相手をしよう」
「は、はい! りょ、了解しました!」
と、僕は月裏さんと一緒にその巨大なゴーレムに狙いを定める。
「コオオオオオオオオオオ……」
と、ゴーレムはその巨大な腕を高く伸ばした。そしてその腕をこちらに向けて落とす。
「大剣・無銘と聖剣・ヒカリの初の戦闘だ。勝ち戦で、派手に勝利を飾ろう!」
僕は大剣と聖剣を構えて、二剣流の構えをする。そして月裏さんはその間に火炎を纏った状態で、翼を羽ばたかせてゴーレムに狙いを定める。
「火葬・火翔演武!」
月裏さんはまるで舞うかのような踊りで、火炎を纏ったままゴーレムの右腕に体当たりして、右腕の接合部を燃やす。燃やされた接合部、そして落ちて行く右腕。
「二剣流・打倒の陣!」
僕はその落とされた右腕を打ち返す。こんなに巨大な物をそのまま落とすのは勿体無かったからだ。思いっきり打ち返された右腕は、ゴーレムの左腕にぶつかる。左腕はあらぬ方向に曲がり、そのまま接合部が崩れる。
意外と脆いようだし、これなら勝てる!
他の敵達も、皆が押しているようだ。
「よし、このまま―――――」
倒そう、と僕が身構えたその時、
あの巨大モンスター達は一斉に逃げて行った。
「……ちょっと……まだ戦いは……」
ユリーが言うが、モンスター達に言葉が通じるはずもない。
結局、モンスター達はそのまま姿を消した。
新たな相棒の武器との戦闘は、敵が敗走した、不戦勝のような形で、不完全燃焼のまま終わった。