魔王な姉と勇者な弟
作者「足りないんだよな……この物語」
リア友「何が足りないと思うんだ?」
作者「キャラが薄い」
そうしたら、怒られた。何故?
「すいませんが、あなたは魔王として世界に混沌をもたらして貰います」
初めて行った教会で私はそう目の前に現れた女性がそう言われた。
黒いスーツの上に赤い鎧をまるでジャンパーのように羽織った奇抜なファッション、顔には何故か般若のお面。そしてそんな変な服装であろうとも男性を虜にするダイナマイトボディの持ち主。彼女は自分の事を『月裏イヴァリスト』と名乗っていた。
「魔王とは世界に混沌を巻き込まれますが、それだけではなく、魔族と言う者達やモンスター達と言う生き物を従えて希望を与える存在。世界の闇を制御する存在。魔王とは決して悪だけと言う存在ではありません。
あなたには悪い事を命じていると言う事も分かっています。ですから、私を恨んでくれても構いません。けれども、魔王として世界に均衡をもたらしてください」
彼女はそう言って私の前から消えた。
神の扉を開けて教会に戻って来た私に、シスターさんはどう言う神様に会って来たのかを問いただしていた。私は『魔法を司る神様』に会ったと嘘を吐いた。この教会は神聖な物しか認めない。
勇者は善、魔王は悪。
絶対的な正義の名において、不健全な、不埒な、邪な物は存在すら許さない。そんな彼らにとって、『魔王の神様の加護を貰って魔王となってしまった』と言う私、リリーベル・フランベルの存在を認めようとしないだろう。事と次第によっては、私を殺すかもしれない。だから私は『魔法の神様の加護』を貰ったと言って、嘘を吐いたのだった。
そう言えば、私の後に入った弟、ユウト・フランベルはどんな神様の加護を貰ったのだろうか? 私のように誰にも言えないような加護だったら、弟に打ち明けて2人で笑いあえるのに……。
「姉さん! 姉さん!」
と、弟、ユウトが神の扉を開けて出て来た。
「ボク、この世界に魔王の神の加護を受けた『魔王』と言うのを倒す、『勇者』と言うのになったみたい! まず、朝比奈揺と言う人を探して、その人から王冠を貰わないといけないみたいなんだ!
姉さん、手伝って!」
……どうしましょう。
私の弟、『勇者』みたいなんですけど。
そうして魔王と言う事を隠す私、リリーベル・フランベルと勇者と言う事を世間にばらしまくる弟、ユウト・フランベルの旅は、『朝比奈揺』と言う冒険者を探すのだった。