職業が変わっていた
目を覚ますと、お金が増えていた。いや、お金は元々月裏さんに渡して貰う予定だったのだから何も問題はない。問題はそこではない。
【朝比奈揺 Lv.3 種族;人間 職業;女虜男 HP;200/200 MP;90/90
姫 Lv.8 種族;獣人(狸族と狐族のハーフ) 職業;なし HP;220/220 MP;400/400
紅葉 Lv.8 種族;リッチ 職業;魔法使い HP;96/96 MP;4400/4400
ー只今、姫の身体には金目の物を収納しておりますー
所持金・100620G】
「姫と紅葉のレベルが上がってる?」
可笑しい。寝る前はレベル2くらいだと思っていたのだけど、いつの間にレベルが6も上がっているんだろう? それにこの【-只今、姫の身体には金目の物を収納しておりますー】と言う但し書きはなんだ? これも昨日は無かったはずだ。
それに職業も、これは何の職業だ?
そう思っていると、ご丁寧にも頭の中にその職業の説明が出て来た。
【女虜男……男なのにも関わらず、複数の女の子から養っている者の称号。仲間女性が倒したモンスターから出るお金が通常の1.4倍になります】
「なに、この駄目職業……」
ヒモって……。ヒモは無いよ、ヒモは。
これは本格的に戦ってレベル上げして、職業を変えなくてはいけない。そのためにはまずは教会で神のご加護を貰って、ギルドへ行こう。そしてレベル上げをしよう。少なくとも彼女達と同じレベルが欲しい。
スキル、呪い耐性無効化によって経験値は通常より高いはずだからそれで頑張ってレベルを上げないと。
「まずは教会に行くって言う事を2人に話しておこう。次の目的を決めるのは僕なんだから」
そう。僕の当初の目的は今、ここに決まった。
脱、女虜男だ!
下に行くと姫と紅葉が変な目でこちらを見つめて来る。昨日とは違って、何だか変だ。
「どうかしたのか、紅葉? 姫もだけど」
「……いえ。何故だか今の主を見ていると、放って置けないと言うか母性をくすぐられると言いますか」
「コポン……」
やばい。良く見ると、他の店に居る女性達も変な目でこちらを見つめている。もしやこれが女虜男の効果?
僕は初めて、自分が異世界に来て変わった事を実感した。