混沌とゼツボウの女子会
【うん、やっぱり女子会にもお菓子はやっぱり素麺だよね】
と、まるで美味しいお菓子を食べるかのようにして、豆羽エゴは素麺をそのまま流し込んでいる。しかも、飲み物代わりにすぐに麺つゆを飲んでいるのだが。
それを見て、他の女子会に参加している4人はどんびきしていた。色々と味の好みにうるさい神は居るが、おやつ代わりに生の素麺と麺つゆを嗜む神様と言うのは聞いた事が無かった。まぁ、誰も敢えて指摘したりはしないんだけれども。
「じゃ、じゃあ、とりあえず女神様達の女子会を始めましょうか」
と、メモリアルはその雰囲気をどうにかするために女子会の開催を宣言する。そしてとりあえずと言う事で、メモリアルは月裏さんに狙いをつける。
「じゃあ、まずは月裏さんに話を聞かせて貰いましょう。月裏さんは今、朝比奈さんと分霊越しですが確かな恋をしてますよね?」
「へっ!? え、えっと……」
いきなり話を振られて戸惑う月裏さん。
「そうね、それは私も気になっていましたわ♪」
「る、ルルリエルさんまで!? え、えっと……その……まだ色恋と言う段階には達していないと言いますか……」
人差し指を付けたり離したりしながら、月裏さんは視線を逸らしている。顔を赤らめてやっている月裏さんはその時は美女では無く、ただの恋する少女の顔であった。
「気を付けて、月裏さん。あの男は直球で告白をしないと気付かないタイプですから。女は押しが肝心よ」
「そ、そうですか。運命の神様であるメモリアルさんに言われると、信ぴょう性がありますね」
なるほど、なるほどとメモを取る月裏さん。その横で「兄さんにもこの手は有効でしょうか……」と無表情な顔で月裏さんの倍の速度でメモを取るミランダ。
【我も使えるかな……あの朴念仁に】
「んっ……? 豆羽エゴは誰か好きな人が居るの?」
妙にやる気な豆羽エゴに対して、メモリアルは聞いてみる。
【んっ……? 我は適当にちょっかいを出したら面白そうな人が好きなんですよ。今のお気に入りは最近、デスサイズが会っていると言う人間、銀条君に手を出したいと思っているよ?】
「今すぐ止めなさい、殺されるわよ」
【可愛いくて綺麗な女性に殺されるくらいならば、本望です!】
「そんな台詞をこんな所で聞きたくは無かったわ……」
と、エゴが死亡フラグを立てているのに、メモリアルはツッコミを入れていた。
【それに殺され慣れてるし……ね。我は本体が死なない限りは消滅する事はない神様だし】
「……こ、殺され慣れると言う表現もどうかと思います」
エゴのとんでも発言に、月裏さんは溜め息を吐いていた。
「メモリアルさん。アバユリ兄さんの落とし方を教えてください。やっぱりなかなか落ちません」
「……そう言う展開になるのね、やっぱり。
……この前はどういうやり方をしたの、ミランダ?」
「この前は相手を魅了する効果を持つ猪肉を使った、惚れ薬を入れた鍋を出したんですが」
「……それを告白と言っていいのかしら。私、そのやり方はおすすめ出来ないわ」
メモリアルはミランダの解答に対しまして、乙女としてそれはどうなんだろうかと思っていた。
「……そうですね。いつもと違う自分を見せてアバユリにアピールするとかはどうでしょうか? 例えばミランダはアバユリに対してクールビューティ的なイメージがあるから、こう……」
「そうね、小悪魔的なイメージとかはどうかしら?」
ルルリエルの発言に皆が脳内で小悪魔なミランダを考えてみる。
『アバユリ兄さん、良かったら私の胸を揉んでみます―?』
「「「【駄目だ、ビッチだ】」」」
と、月裏さん、ルルリエル、メモリアル、エゴの4人は脳内の彼女にツッコミを入れる。
「駄目だったわね、小悪魔的なミランダ。月裏さんは何か考えがある?」
「え、えっとじゃあ……ツ、ツンデレとか?」
月裏さんの意見に対して、今度は皆の脳内にツンデレなミランダを考える。
『べ、別に兄さんの事なんて…………好きなんだからね//////』
「「「【遠回しに素直になった!】」」」
良かったかも知れないが、ツンデレとは言えない絵面だったので却下して置いた。
「じゃあ、最後はエゴさんの案ですが……何かあります?」
【メモリアルさん、酷いな。我にもあるよ。そして我のが一番の本命でしょう。名付けて【家庭的なミランダさん】!】
それに対して、皆は考える。家庭的なミランダさんを。
『あら、兄さん。料理ならば既に出来ているわよ。それともお風呂?』
「「「【なんか……違うな】」」」
「あなた方、私を何だと思っているの?」
と、ミランダは無表情ながら頬を膨らませて抗議の意思を出していた。
デスサイズが好きな人間、それが銀条響君。
エゴはそんな人間に手を出そうとしていました。