ゼツボウの殺人事件
「これでようやく終わったか……」
そう言いながら、日向ラファエルはそう言いながら日本刀にかかった血をふき取ろうとして、
「な、なにをしてるんですか、こんな所で……。日向さん?」
「本当ね、聞かせて欲しいわ。こんな場所で、同じ神様である端末の神、豆羽エゴを殺してるの?」
書類をかかえて呆然としている裏方の神、月裏ラキナエルと、睨み付けるようにして日向ラファエルを見る大剣の戦女神、戦恋ルルリエルが居た。
「どうしてこんな所で、豆羽エゴを殺してるの? その日本刀、確か運命の神であるメモリアルが持っていた神殺しの刀! 神格すら無効化して神をも殺してもしまう神殺しの日本刀! その日本刀を使っているって事は……まさか、本格的に豆羽エゴを殺そうと考えていたの?」
「そ、そうですよ! その日本刀だったら、神様である私達ですら簡単に殺害出来る……つまり、豆羽さんを殺そうと考えていたとしてもおかしくないですよ……」
月裏さんとルルリエルがそう言いながら、日向に対して怪訝な目つきで、人斬りを見るかのような目つきで日向を見つめる。それに対して日向は「ハハハ!」と笑う。
「私が豆羽エゴを、この神殺しの日本刀で殺そうとしている? そうだな、その通りかも知れない。だが、こいつは端末の神様、書記の神様の主神であるあの天才が産みだしてしまった16神の、ただの端末達。
こいつは自分自身が本体だと思っていたようだが、私から言わせればこいつもただの端末。つまり替えが効く部品にすぎない。
神が神を殺すのには確かに重要な理由が必要なのだろうが、私はただここにあったただの”物”を壊しただけに過ぎない。だからそれをお前達2人に指摘される筋合いは無い」
そう言いながら、もう言う事はないと言った感じで出て行こうとする日向ラファエル。それに対して、ルルリエルはあり得ないと言う形で出て行こうとする日向を止めようと口を出す。
「待て―――――日向!? 話はまだ終わっていませんよ!?」
「お、落ち着いて、ルルリエルさん。多分、日向さんにも色々と事情があるんですよ。そ、それに今日はそう言う事で集まって貰ったんではないです。わ、私の分神との朝比奈さんとの恋愛関係について……」
「そうだったわ! それについて、メモリアルさんも合わせた3人で話し合おうと言っていたんだわ。日向も気になるけれども、今はメモリアルさんと合流しましょ」
月裏さんとルルリエルの2人はそう言いながら、彼女達はメモリアルを探してどこかに向かってしまった。そんな彼女の遠ざかるような声を聞きながら、日向は小さく嘆息する。
「無知な神様達だ。まぁ、それが当然の反応だろうが。だがしかし、それが良いのかもしれない。平和な日常、平和な日々、それを送れるだけ幸せと言う事だ。
さて、まずはあいつに報告だけするとするかな。今回も、どうやら失敗した訳だし」
日向は神殺しの日本刀の血を拭いながら、目的とする人物に会う為に向かっていたのであった。