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余り物には……福がある?  作者: アッキ@瓶の蓋。
サツリク×サービス
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超神様級の神様・豆羽エゴ

 僕達は喜び勇んで【犬人の洞窟】の入口へと戻っていた。損しかない依頼だと思っていたが、新しい武器、それに月裏さん以外の4人は新たにスキルを手に入れていたのだから。まぁ、それにしたってこの依頼を勧めて来たあのお嬢さんには色々と文句を言いたい所である。まぁ、あのモンスター、シルバーカシラウルフはここの辺りを統括するボスだったのがどの程度関係しているのかは分からないけれども、僕達を倒そうとコボルト達が数体しか襲って来なかったのが幸いだった。数体と言うけれども、初めにこの洞窟の奥までに倒して来たコボルト達の数に比べたら本当に数体……ごく少数としか思えないくらいの数しか襲って来なかった。

 倒しすぎた、いやそれともここのボスモンスターであるシルバーカシラウルフを倒したのが問題なんだろうか?



「―――――――まぁ、僕達の体力が減ってるから、ありがたいね」



「回復しますよ?」



 僕がそう言ったのを聞いて、紅葉がそう言ってくれたけれども、紅葉も体力が減っているから遠慮して置いた。



「じゃあ、これで!」



 姫がそう言って、回復アイテムを出して来る。どこで手に入れたんだろうとは思うんだけれども、僕はそれも遠慮して置いた。それをどこで手に入れたかが純粋な問題として気になったからである。



 ユリーと月裏さんは揃って、前方を警戒してくれているから僕はこうやって気軽に帰れるのだろう。



 後は馬車に乗って誕生都市ローレライに帰れば済むだけの話。そう思っていたら、



「――――――――――あれ?」



 目の前に1人の女性が立っていた。

 その女性はあの時の、そう誕生都市ローレライの都市で僕に依頼を紹介してくれた




「――――――受付のお姉さん?」


 

 そう、あの時会った受付のお姉さん。どうして彼女がこんな所に?



「どうしてこんな所に受付のお姉さんが……」



「ま、待ってください、朝比奈さん。あの人、どうやら憑依されています」



 と、月裏さんがそう言って僕を止める。



「……憑依? 誰かが憑りついていると言う事?」



「はい、私の予想ならば……多分、私の知る神様です」



「か、神様?」


 

 それってもしかして、月裏さんや試練を与えて来た日向ラファエルと言う人物と同類の種類の神様と言う事なのだろうか?



「た、多分、姫ちゃんも、紅葉さんもあった事があると思います。――――彼女(・・)の端末、飼育の神である豆羽ずうミラキジェスに……」



「「えっ……?」」



 2人が驚くのと共に、目の前の人物は途端に吹きだしそうな顔でこちらを見る。



【いや、実に傑作。そして、実に失笑ですね。まさかネタ晴らしをする前に、バレてしまうとは。まぁ、まあまあの点数をあげよう。

 その通り。ここに居る彼女は身体だけは受付の彼女、ヒジューの身体を使っているけれども中身は別物で、今は我々が使わせていただいているのでして。

 我々の名前は、豆羽ずうエゴ。四肢、つまり4の4倍の数、16の【端末()】を持つ神様です。



 ――――――具体的に言うとするならば、4人の主神、【飼育の神の主神】である豆羽ミラキジェスなど【書記の神の主神】、【能力の神の主神】、【蛇の神の主神】の4人。

 4人の副神、【剣術の神の副神】である豆羽ブレイドなど【食卓の神の副神】、【鍛冶の神の副神】、【芸術の神の副神】の4人。

 4人の戦女神、【銃の戦女神】である豆羽イッパツなど【爆弾の戦女神】、【ハルバートの戦女神】、【大槌の戦女神】の4人。

 4人の死神、【最少殺しの死神】であるテセウスなど【仮面殺しの死神】、鉄串で殺す死神、銃で殺す死神の4人。



 以上、神様総勢16名を端末として使う、最近有名な通称で言うと【超神様級の神様】。それが我々、【端末の神】である豆羽エゴですよ】



 ハハハ、と笑う受付嬢。いや、受付嬢に憑りついた豆羽エゴは笑っている。



 【超神様級の神様】、豆羽エゴ。



 そう言えるだけエゴの言っていた事は凄かった。



【君達はどうしてここに、私が受付嬢の女性に憑りついてやって来たのか。それが気になっているんでしょう。でしたら、お答えいたしましょう。

 この受付嬢の女性、裏で色々とやっていますからね。所謂、悪人と言う感じでして、それが分かればここに来た理由も分かるでしょう】



 エゴは、いやエゴが憑りついた状態の受付嬢はおもむろに腰から短刀を取り出して、



【いや、何。誰でもやっていて、誰もがやった経験のある、ごく有り触れた当たり前のような、そう空気を吸うくらい当たり前の行動だ】



 そう言って、彼女はそのままその首筋にその短刀を――――――ぶっ刺そうと構える。



【―――――要らなくなったものの処分と言う、ごくありふれたような行動だ】



 そしてそのままぶっ刺そうとして、短刀を強く握りしめた。














 その攻撃をユリーが、長刀・ボルケーノを投げて止める。



【何をするんですか、第四王女。我は神様の中ではかなり矛盾ばかりの神様ですよ。まぁ、16の【端末】があるから仕方ないと言えば仕方ないですけれども。

 だから、一度は許そう。しかし二度はない。理由を明らかにしてもらえるかな、第四王女】



 豆羽エゴは【さぁ、答えてよ。すぐに答えて】とまくし立てるようにして聞く。それに対してユリーは



「……第四王女として民草を守るのは当然の権利です」



 と堂々とユリーは言い、それに対して豆羽エゴは納得したような顔で【そうだな】と言う。



【全くだね、実にそれは正論だ。何も可笑しくはないね、だから我も同意見だ。ならば、我は消えるとしよう。また機会があれば会おう】



 受付嬢のお嬢さんは、糸が切れたようにその場に倒れ込んだ。 

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