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余り物には……福がある?  作者: アッキ@瓶の蓋。
ハイスキルC×C NEW ENEMY
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朝比奈、押し付けられる

 半ば忘れかけていた事だが、僕、朝比奈揺は『鋼の城』のDランクの冒険者である。すっかり色々な事がありすぎて、忘れていたが僕は冒険者として依頼を受けないといけないなと思い出した。

 誕生都市ローレライにも『鋼の城』の支部はあって、僕はそこで報告をすると受付のお姉さん(何故か受付が女性ばかりなのは仕様だったりするのだろうか)は驚いたような顔で僕を見ていた。



「驚きました。何故、学術都市ダラムアトルからいきなりこの誕生都市ローレライにワープしているんですか?」



 うっ……痛い所を突かれたな。これはユラギーン・ナイトによる転送によるせいなのだが、そんな事情を説明していると色々と不味い事になってしまう。具体的には神様とかを話すと不味いのではないだろうか。どうやって誤魔化そうかと思っていると、お姉さんは「まぁ、良いか」と呆気ない顔でこちらを見ていた。



「学術都市ダラムアトルと、誕生都市ローレライ。かなり距離があると言えばありますが、まぁ、居ても可笑しくないですし。それに個人個人の事情に首を突っ込みますと、色々と問題がありますしね」



「そ、そうですか……」



 良かったー。説明を必要とされなくてありがたい。

 最もギルドとはだいたい個人個人の秘密にしておきたい事情について、そんなに絡んで来ない事を僕は知らなかったから、このお姉さんをまるで女神様のように思っていた。実際、パーティーの中にはちゃんと女神様が居るんですけれども。



「はい、確認しました。朝比奈揺、Dランク冒険者ですね。最近、依頼をこなしていないみたいなので、このあたりで何か依頼をやって見ては如何でしょうか? あまり依頼をしなさすぎるのも、ギルドとして困ってしまいますので」



「あっ、はい。そう思って来ました!」



 「そうですか~」と何故かにまりとした顔をしたお姉さんは、「ちょっと待っててくださいね」と言う言葉を残して横に積んであった紙の束を探っている。



(もしかして、何か依頼を押し付けられたりするんじゃないんだろうか?

 紙を探っているという事はやって欲しい依頼が書かれた紙を探しているという事だし、待っててくださいねと言うのはつまり逃げないで欲しいという意味なんじゃ……。

 やって欲しい依頼、そして逃げないで欲しい……これって……所謂……)



 嫌な依頼を押し付けようとしているんじゃないか、と思っていると、彼女はニコリとした満面の笑みで紙を持ってこちらを向いていた。



「ちょうど良かったですね。ただいま、この依頼を誰にやって貰うかと言うのを、ギルド内で鋭意相談していた所なんですよ~。朝比奈さんはDランクですので、少しレベルが高いかな~とは思いますが、確か朝比奈さんはパーティーでやっていましたので、大丈夫ですよね~。

 もし、ここで私のこの依頼書を断るような事になれば、どうなるかは言いませんが、後々厄介な事がありますよ~。何が言いたいのかはわかりますよね~?」



 そう言って、こちらが若干引くくらい完璧な満面な笑みで、物騒な事を言う受付のお姉さんに対して、僕は黙って頷くしかなかった。

 今日の18時、『元戦神と囚われの魔導書』、投稿予定です。良ければ読んでください。

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