妹ととの食事会
誕生都市ローレライの料理店、『バードフライ』。鳥系魔物の料理を売りにしている店で、他にも皆で食べられる沢山の種類の料理が食べられるお店。多人数で食べられるのに向いているお店である。
「今日は私のおごりですので、思う存分食べてください」
と、朝比奈二世――――――――いや、朝比奈二世の姿にそっくりな女性、【死神殺しの死神】であるポイズンリップはそう言っていた。沢山の料理を注文してそう言っていた。
「いただきます!」
姫はそう言って手を合わせて合掌すると1人早速ご飯を食べ始めている。僕もまた食べ始める。しかし、ユリエル姫と紅葉の顔色はまだまだ怪訝な、怪しむような顔色だ。その視線の先は平然とご飯を食べるポイズンリップ、そしておずおずと箸を進める月裏さんの姿があった。
ちなみにあのジャックとか言う黒猫の死神と、アンジェリーと言う鎌を持っていた死神の2人の死神達は上司に報告するとかで帰って行った。……死神にも上司とか居るんだな。
今のパーティーは皆入っている状態である。
【朝比奈揺 Lv.22 種族;人間 職業;神殺しの二剣流 HP;580/580 MP;420/420 加護;ルルリエルの加護
姫 Lv.21 種族;獣人(狸族と狐族のハーフ) 職業;禁呪術師 HP;400/400 MP;680/680
紅葉 Lv.21 種族;リッチ 職業;希望の魔法使い HP;126/126 MP;7000/7000
ユリエル・アトラシ Lv.21 種族;人間 職業;二刀流 HP;430/430 MP;230/230
月裏 Lv.15 種族;不死鳥 職業;拳士 Hp;190/190 MP;620/620】
どうやら皆、レベルが上がったみたいだけれども、あのリーンベルを倒してもレベルが上がらなかったみたいである。まぁ、そう何度もレベルが上がる方が可笑しいか。今までは順調に上がって来た方が可笑しいと言うべきか。
「月裏さん……なんで神様であるあなたがここにいるんですか?」
「月裏……。一応、どう言う人なのか説明して貰えますか? 朝比奈さんにはまた後で説明して貰うつもりなので、本人であるあなたから」
「あぅ……。えっと、えっと」
月裏さんは紅葉とユリエル姫の2人に突っ込まれて慌てふためいている。
僕はと言うと、彼女に集中していた。そう、彼女、ポイズンリップに。
他人の空似にしては、彼女の姿はあまりにも僕の妹である朝比奈二世にあまりにも酷似しすぎている。そして彼女が僕を見て言った「兄さん」と言う言葉。声も顔も体格も性格も、その全てがまるで鏡のようにそっくりすぎるほどそっくりである。
「兄さん? どうかしましたか? 早速、食べてくださいよ。理飯屋である以上は、毒なんて入れられてるはずがないんですから」
それもそうであるが、僕としては彼女の「兄さん」と言う呼び方に違和感を覚えるのだけれども。
「お前はいったい……」
「先ほども言いましたよね、【死神殺しの死神】、ポイズンリップであると。……あぁ、そう言えば詳しい説明を省いていましたね。それじゃあ、ちゃんと説明しましょうか」
そう言って、彼女はニコリと笑う。
「……【母親が産まれてくる子供に一番最初に与える物】とはいったい何でしょうか?】」
「……! それは!」
月裏さんを解放する際に必要な問題で、朝比奈二世から教えて貰った言葉……確か答えは……。
「「【名前】。何故なら愛情は産まれて来る前から与えられている物であり、名前とはその者が生まれた事を感謝されているからである」」
……! その答えは……二世が言っていた言葉と同じ!
「君は……やっぱり……」
そう言うと、彼女はニコリと笑ってこう言う。
「私の名前はポイズンリップ。
前世の兄様、ジョーランドの妹のデスリップであり、この前の世界、朝比奈揺の妹である朝比奈二世でもあった者。死を司る神として霊魂を操ってその力で殺しを行う者。
―――――――そして兄さんとマジで結婚して、イチャイチャラブラブしたいと思っている死神です」
正直、最後の紹介分は要らない……。そう聞きながら思う僕であった。