死神の鎌
死神の鎌。それは死神にとって大きな意味を持ってくる。
鎌とは、魂を奪い取る物。魂を奪い取る存在である死神にとって、鎌とは神聖な物である。武器として使う死神は少ない。死神の中でも鎌を使う死神は少なくて、最高位の死神であるデスサイズも鎌は主武器ではなく、カッターを主武器として使っている。
鎌を武器として扱わない理由、それは神聖な物であると言う事以外にも、他にも理由がある。それは昔、鎌を扱った死神がとんでもない性格で、とんでもない極悪的な者であった事も理由の1つである。
誕生都市ローレライの屋根の上、アンジェリーはその通説を打ち破るべく、鎌を武器にして高位の死神となるべく戦っている。
【しかし、アンよ。この度の任務はポイズンリップを倒す事、そしてもう1人の死神を殺せば、遂にお前は高位の死神になれるのじゃ。
これで歴史に鎌を使う新たな高位の死神として、お前は歴史になるじゃろ】
と、宙に浮かぶ黒猫、ジャックはそうアンジェリーに言う。アンジェリーはそう尋ねられると、「はい!」と言いながら鎌を強く握りしめる。
「私は鎌を、再び死神の武器として再興させます! 鎌を武器として使う高位の死神、リーンベルがあまりにも酷い性格だったために、鎌が悪い物として扱われるようになってしまいました! 私はそれを―――――――鎌を復興させるために、力を振るいます!」
アンジェリーはそう力強く宣言していた。
アンジュリー。彼女は鎌を使う死神としての再び地位を確立しようと思っている死神だ。その心意気を買ってジャックはアンジェリーに協力している。
ジャックも死神の武器としての鎌の地位の低さには、なんとか対策をしようと思っていた。だから、アンジェリーが鎌を使って高位の死神となると言う事に対して協力しているのだ。
アンジェリーもジャックのそう言った協力心に対して感謝の念を抱いており、尊敬心を抱いているのである。
アンジェリーは死神の鎌としての地位を向上させるために戦い。
ジャックはその鎌としての地位を向上させるためのお手伝いをする。
それが1人と1匹の死神、アンジェリーとジャック。
【まぁ、今はやるだけしかなかろう。今度の敵は相当の相手じゃ。覚悟しろよのう?】
「ジャック先輩? 相当の相手って……高位の死神である以上は、相当の相手である事は分かってますよ? ですので、どんな相手であろうとも頑張らさせていただきます!」
ビシッ、とジャックに向かって敬礼をするアンジェリー。
そんなアンジェリーに対して、ジャックは冷たく言い放つ。
【-―――――――敵の名前はリーンベル。判決殺しの死神にして、最古の鎌の所有者じゃよ】
その頃。誕生都市ローレライの裏道。
そこには多くの死体が転がっていた。全身を鋭利な物で斬られ、さらに全員が絶望の顔を向けている。
そんな死体の山の中、1人の男性が立っていた。
おぞましいほどの殺気を放つ明らかに身長の倍以上はあろうかと言う鎌を、背中に付けた眼鏡をかけた少年。少年の髪は乱雑に伸びており、そして服には【判決】の二文字が刻まれていた。
「罪状その1、貴様らは我の道を妨げた。進路妨害罪。
罪状その2、貴様らは我の周りの空気を吸った。環境保護罪。
罪状その3、貴様らは我に大きな声で話しかけて来た。騒音罪。
以上の3つの罪状により、貴様らの判決を言い渡す」
彼はそう言って、その大きな鎌を道に転がりながらも懸命に生きようとしている男性に鎌を向ける。
「判決、死刑」
彼の名前は【判決殺しの死神】、リーンベル。
最悪最低の死神である。