色鮮やかな試練(2)
【属性の試練】。難易度、低め。
試練の神の主神、日向ラファエルが時々転生者などに出している試練。多種多様な属性攻撃を覚えないと倒せない魔物を用意して、それに対応する能力を見る。初心者向けの試練として時々出されている試練であり、どれだけの実力の仲間を揃えているか、また属性耐性を打ち破るほどの実力を有しているかなどを見る試練である。
「大抵は属性攻撃でないと倒せないモンスターを異常発生させたり、属性攻撃でしか倒せないモンスターに変えたりと言った事が中心ですね。今回はこのエレメントモンスターの異常発生にしているみたいです」
と、大量のエレメントモンスターを見て月裏さんはそう言っていた。これが試練……。4色のうちどれが少ないと言う事も無く、4色がそれぞれ色鮮やかに現れている。
「私、かなりお役に立てると思います。ですので、ご主人様。『闇』でちょっと攻撃してくれませんか?」
「『闇』か……」
確かに僕はこの前、ユラギーンを倒したため、スキルとして『闇』の属性を手に入れた。この能力はあいつが高らかに言っていて覚えている。
引力。引き寄せる力。これを攻撃にするとしたら、
(こう……か?)
僕は『闇』の魔力によって出て来た黒い魔力の塊を弾丸状に作り変えて、その作り変えた黒い弾丸をエレメントスライム達めがけて放つ。
放たれた黒い弾丸は当初に設定されたモンスターに、自らの意思で引き寄せられる。所謂、追尾弾。まぁ、エレメントスライム達は動きが遅くて追尾する意味が無かったと言えば、無かったのだけれども。
上手く行けば、かなり強い遠距離系として役立てるかもしれない。他にも相手をこちらに引き寄せたりとかの方法として。
黒い弾丸を受けたエレメントスライム達は、即座に色を真っ黒に変わる。今まで4色の色鮮やかだったエレメントスライム達は、即座に黒のどんよりとした雰囲気を漂わせる存在へと変わる。
「これで良いのか、月裏さん?」
「はい。これで全部のモンスターに対して、炎が有効になりました」
彼女はそう言って、背中の翼を大きく広げる。髪も赤く燃え上がり、そして彼女はその翼を大きく羽ばたかせて、宙へと飛ぶ。大空へと飛翔する。
「纏めて燃やします! 炎葬・羊追い!」
エレメントスライムの周りに大きな火の枠が出来たかと思うと、エレメントスライムが火に囲まれて出られなくなった。即座に赤色へと変わろうとするエレメントスライム達の行動を止めさせて、そのまま月裏さんは自ら炎を纏ってその火の中、敵の中心へと突っ込んで行く。
そして上がる大きな火柱。
その大きな火炎の中、月裏さんは身体中が燃えながらも、笑顔で現れた。
「【属性の試練】、クリアですよ。ご主人様」
「あ、あぁ……。そうだな」
と、炎を纏っている状態にも関わらず、笑顔でニコリと微笑みかける彼女に、僕は心を奪われていた。
【朝比奈揺 Lv.22 種族；人間 職業；神殺しの二剣流 HP；580/580 MP；420/420 加護;ルルリエルの加護
紅葉 Lv.21 種族；リッチ 職業；希望の魔法使い HP;126/126 MP;7000/7000
月裏 Lv.15 種族；不死鳥 職業；拳士 Hp;190/190 MP;620/620】
遂に100部。毎日1部1部やっていますので、こつこつとやって来た成果だとは思いますけれども、これからもよろしくお願いします。
