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緑竜と応接間



 隣の応接間へ入ると、背筋をすっと伸ばして一人掛けのソファーに座る緑竜の姿があった。

 

「お久しぶり」


 そう声を掛けながら、緑竜と向き合ってソファーに座る。王宮のソファーなだけあって、ふかふかだ。

 

「貴方はまだ寝惚けているんですか? 先ほど、お会いしたじゃありませんか。しかし、こんな時間に寝間着姿とは……。貴方は一体何をされているのですか? 朝はちゃんと、規則正しく起きなくてはいけませんよ」

「実は、朝起きて図書室に行ったら疲れちゃって。それで昼食まで寝てたんだ」


 はっきりとは言わないが、今は昼食の時間なのよ?と伝えてみる。


「おかしいですね……。貴方は雌竜といっても竜なのですから基礎体力は人間の女性よりあるはずです。余り体を動かしてないんじゃないですか?いくら竜とはいえ、毎日寝てばかりでは体が鈍って当たり前ですよ?」

「う、運動はしてるつもりなんだけ……ど」


 これでも一応、週に1・2回はダンスのレッスンを入れてるから運動はしてるつもり。ちゃんと毎朝起きて勉強もしてるし……。

 ただ今日は、青竜に会って色々知ったから疲れ果てただけなんだけど……。


「そうですか? 大丈夫なら良いです。余り心配をさせないでください」


 い、今のって心配だったの!? てっきり私は説教かと思ったよ!

 そういえば、幼い頃からだけど……緑竜の心配は説教なのか嫌味なのか心配なのかよく解らなかったような気がする。

 

「ごめんなさい?」

「全く。なんで疑問形なんですか。何事もないのなら良いんですよ」


 そう言い、優しく微笑む。

 うわぁぁ……。うん、緑竜は几帳面で、普段真面目な仏頂面をしてるからつい忘れていたけど、やっぱりイケメンはイケメンなのね……! あまり見る事が出来ない優しい微笑みとかっ……! 私が人間の女の子だったら、今の微笑みでコロッといってしまったかもしれない……。恐るべし、イケメン。


「青竜から、貴方が王竜である事を伝えたと先ほど聞きました。それで私が伺いに来たのですが、何か心配に思ってる事とかはないですか?」

「緑竜も私が王竜って事知ってるの?」

「ええ、知ってますよ。青竜から説明は聞いてませんか?」


 そういえば青竜が、私が生まれた時から知ってるとか言ってたような気がする。

 疲れてしまって、すっかり忘れてた……。


「青竜にも言われたかもしれませんが、竜は貴方が王竜であると会った瞬間にわかりますよ」

「それって、竜の血でわかるって事?」

「そうですね。潜在意識でわかるのだと思います。普段から王はどこにいるのかと血眼になって探しているわけではないので」


 な、なるほど……。私にはなかったけど、他の竜は産まれた時からこの国の知識と竜しての知識を持ってるから、多分ソレなんだろう。


「他には質問はありますか?」

「うんっと、王竜って何をすれば良いのかな? 王、って言われてもいまいち解らないんだ」


 私の言葉に緑竜は微かに驚いた表情をしている。

 私には最初から知識がなかった。仕方がない! と出来るだけ前を向くようにしていても、凄く居たたまれない気持ちになってしまう。


「……。本当だったのですね。先ほどの質問からどこかおかしいとは思っていたんですが……。青竜が言ってました。白竜には本来、産まれた時からある知識がないみたいだ―――と聞いたのですが、本当に全く、知らないんですか?」

「や、やっぱりおかしいかな?」


 緑竜の確認に、私は思わず俯いてしまう。


「いえ。……。稀にある事だとは思います。それがたまたま、王竜であった貴方だったというだけですよ。貴方は俯かないで堂々としていれば良いんです。貴方はそれを補おうと努力してると聞いてます。決して恥じるべき事だとは私は思いませんよ」


 その言葉に顔を上げると緑竜が私の心配を和らげるように穏やかな顔で微笑んでいた。

 あぁ……。心配、させてたんだなぁ。赤竜の時もそうだけど、今回も、心配をかけてしまっていたみたいだ。

 私はどうも自分の事でいっぱいいっぱいになってしまって、周りの気持ちになかなか気づく事が出来ない。

 そんな自分に情けないなぁと思いつつ、緑竜や青竜の優しさに口元が綻ぶ。


「……ふふ、ありがとう、緑竜」

「なんですか、そんな事を心配してたんですか?」


 心配?

 心配というより、怖かったのだと思う。

 知識がないうえに、青竜にいきなり王竜だと伝えられたんだ。何をすればいいのかもわからないのに、王竜と言われたり、選択する義務があると言われたり、正直、いっぱいいっぱいなのが今の気持ちだ。


「うん、解らない事だらけだもん」

「これは帰ったら青竜に説教をしないといけませんね。青竜の伝え方では貴方をただ不安にさせただけのようですし……」

「えっ、私がはっきりと青竜に知識がないからわからないって言わなかったのが悪いんだよっ」


 思わず青竜を庇うと、緑竜の瞳に無理をしているんじゃないかと探るような心配の色が浮かんだので、無理はしてないよ。と呟くと、緑竜の瞳から心配の色が消えて、仕方がなさそうな瞳になった。


「……ふぅ。今回ばかりは許しましょうかね」

「ありがとう、緑竜」

「仕方がありませんね。ですが、これだけは貴方に覚えておいて頂きたい。……貴方は王竜です。そして、私や青竜、黄竜は貴方に付き従います。多分、他の竜も同様でしょう。そして、私は、貴方には今すぐ何かをして欲しいと思っていません。人間と竜との関係をゆっくりと見定めて欲しいです。そして、貴方の成すべき事を見極めてもらいたい」


 私の成すべき事。……それをゆっくりと見定めて良い、というのは嬉しい。

 知識のない私では、今即決しろ!と言われても、決められるほどの事を持ち合わせてはいない。

 

「じゃあ……、とりあえずは公開式に出る事かな?」

「そうなりますね。そこで人間に触れてみて下さい。そして、貴方が思うままに行動して下さい。それと、公開式には私達以外の竜も出席する予定ですよ。こういう機会がなければ余り会う事もありませんし、時間があったらお会いしてはどうですか?」

「むむっ…」


 それは、凄く緊張する!最初の挨拶って、フレンドリーにはじめまして~とかで良いのかな……それとも、はじめまして。白竜と申します。って感じに真面目に挨拶したほうが良いのかな……。


「……。一応、言っておきますが、普通に『こんにちは』とかで良いと思いますよ。話す気があれば、後はその竜から会話を繋げてくれるとも思いますし」

「そ、そっか……!」


 一人で納得してると、緑竜が穏やかに微笑みながらソファーを立った。きっと、話もひと段落したし、帰るんだろう。

 見送らなきゃ!と思い私もソファーから立ち上がろうとすると、緑竜がスッと手を差し伸べてくれた。


「あ、ありがとう。優しいね、緑竜は」

「そうですか?青竜も優しかったのではないですか?」

「うーん、確かに優しかったけど、少し意地悪だったような気がする」

「はははっ、青竜を意地悪なんて言えるのはきっと、貴方だけですよ。あぁ、そうだ。私は貴方のパートナーになりたいとかは思っていないので、安心してください。ただ……貴方が王として立ち、その右腕として、役に立ちたいとは思っていますよ。貴方は唯一の王女様ですからね」


 私の返事に、緑竜はどこか楽しそうに笑いながら答える緑竜は、いつもの仏頂面とは大違いだ。いつもこんな風に笑っていればいいのに。

 んん? そういえば……。唯一の王女様。その言葉は青竜からも聞いたような気がする……。二人ともなんて恥ずかしい言葉を面と向かって言ってくるんだろう。


「あぁ、それと、公開式の事で悩んでるでしょう? 後で黄竜に来るように伝えて置きますよ。そういう服装やら細かい事は女の子同士の方が話が弾むでしょうし、黄竜なら詳しいはずです」

「あ、ありがとう!助かるっ」


 公開式も悩んでいたので大助かりだ。

お気に入り数にビックリしました……。昨日までは変化なかったような気がしたんですけど……。拙い文なのに、ありがたいです。そして、拙い文なのでとても申し訳ないです。もっと上手く書けるように努力していきたい……!

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