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勉強と、磨けば光る?


 最近ではダンスのレッスンや、マナー、歴史などの色々な勉強をさせてもらってます。

こちらが望めば、先生を付けてくれるほどの好待遇。ただ、望まなければ何もないので自分には何が必要なのかを見極めて頼まなければいけない。ヴァシュアの話だと、これも必要な事なのだと。

 与えられる事が全てではないという事なのかな?

 そんな私は、勉強をいっぱいしたお蔭でか少しだけこの国の事がわかった。

この国は大きく分けて、市民・貴族・王族がいる。そして少しだけ細かくすると、市民・貴族・上位貴族・四公・王族と別れる。

 市民・貴族は純粋な人間で、上位貴族・四公・王族はその血の中に竜の血が入っている。えっと、つまり、竜と人の混血って事ね。

 市民・と貴族の寿命は普通の人間と同じだけど、混血は違う。150~1000年は生きる。その竜の魔力が強く血が濃いほど長生きをし、魔力が弱く血が薄くなるにつれ寿命は短くなるということらしい。稀にとはいえ、”先祖返り”があるから必ずしもではないけれど。


 じゃあ、この国には竜がいっぱいいるの?混血の人っていっぱいいるの?と言うとそうではない。

 そもそも、竜は神からの贈り物とされていて、稀に竜の卵が見つかる程度らしい。なので、私、赤い子の黄い子の緑の子の青い子の卵が一気に見つかった時は大した騒ぎだったみたい。


 混血の人が少ない理由その1は、竜は子供を1人しか産まないから。稀に2人目を授かる事もあるけど、その場合、竜の死亡率が高くて、非常に危険な事だと言われている。孫とかひ孫がどんどん産めば血は薄いながらも混血増えるんじゃないの?と思ったけれど、それは無理らしい。多くて、2人。

 理由その2は、必ず番が見つかるわけではないから。

ヴァシュアに聞いた話だと、番を得る事が出来なかった竜は、番のいない長い生を悲観し命を絶つものもいるし、いつか番が現れるかもしれない…と気長に待つ竜もいる。人それぞれ、いや違うか。竜それぞれという事だ。


 この国の事がわかった、とか言いながらほとんど竜についてなのは許してほしい。

 自分が一番大事です。

 まぁ、一応、この国についても勉強はしたつもりだ。

 ここは5つの国があるルヴァール大陸で、私のいる国は大陸の平和を司る首都ノアールク国。平和を司る、と言いつつ騎士団があったり戦力が揃ってる国です。

 竜がいるのはこの国だけみたい。

 他にも、学問を司る国・自由を司る国・職人を司る国・名も無きを司る国の4つの国がる。

 勉強を学ぶなら学問の国へ、職人として技術を学ぶのなら職人を司る国へ、など、方向性によって行く国が別れる。

一応、首都にいても勉強はできるけど、教師を雇う事が出来るのは富裕層だけだ。

なので、市民や普通の貴族は学びに行くのが通常だ。

ちなみに、自由を司る国と名も無きを司る国の事はどこを調べてもヴァシュアに聞いても詳しい事はわからなかった。

ヴァシュア曰く、「知る必要はございません」らしいので、決して私の勉強不足ではない。


「白竜様、そろそろ休憩をされては如何ですか?」


 大きすぎない品の良い声がした方を向けばヴァシュアが紅茶を運んで来てくれた。ケーキ付だ。


「う~ん。けどほら、私、全然知識がないから。少しでも詰め込んでおきたくて」


 謙遜でもなんでもない、事実を溜息と共に吐き出す。

 先ほど長々と述べた話は、知っていて当たり前の事なのだ。人間の子なら習わなければ知らないのは当然だが、竜は女神の祝福とやらで、生まれ持って知っているそうなのだ。

 それって、俗に言うチートなのかな?とは思ったけど、深く突っ込むのは辞めにしとく。


「昨晩も、夜遅くまで本を読まれていたのでしょう?顔色が優れません」


 どうやら、知られていたらしい。

 明りが漏れないように、床に明りを置き、毛布をかぶり、丸まって本を読んでいた努力はとてつもなく無駄だったみたいだ。


「ご、ごめんなさい」

「謝らないで下さいませ。これほど心配しても、夜中まで読まれるのでしょう?でしたら、次からは普通に読書をして下さい。あのような読み方では余計に疲れてしまいます」


 この部屋に引っ越してきて1か月が経ったが、ヴァシュアとは少しだけ仲良くなれたような気がする。

赤い子の事があるからか、最初は、腫物を触るような感じだった。わからない事を質問しても、返ってくるのは事務的な返事だけ。

けど、少しずつ色々な事を話してくれるようになり、今では軽い雑談程度だったら応じてくれるまでになった。

話し方がきつめなのは、ヴァシュアの性格なのだと思う。


「うん。少しでも、多く知識が欲しいの」


 残念な事に、チートというものに恵まれなかった私には知識がなさすぎるから。


「でしたら、仕方のない事でございますね。それをフォローするのが私の務めです」

「ヴァシュア!解ってくれてありがとう!」

「いえ、お礼には及びません。その代りと言ってはなんですが、毎日1時間、マッサージを受けて頂きます」


 ヴァシュアのマッサージという言葉に、たらりと冷や汗が垂れる。

 なんでかと言うと、あれは、マッサージと言う名の、羞恥プレイだからだ。


「え、ま、待って!私、あれは好きじゃないのよ」

「いいえ。これだけは譲れません。白竜様は黄竜様のように宝石を新調したり、ドレスを新調したり一切なさりません。するのはお勉強ばかり…。ですから、マッサージをして女としての磨きをかける事は必要でございます」


 マッサージ。それはほんとに羞恥プレイだ。

 すっぽんぽんになり、台の上で寝そべり、お肌を綺麗にしてくれるマッサージという名のエステ。

 前世でもエステというものはあったけれど、セレブとかではなく、一般市民だった私には縁がなく、一度も行く事はなかったもので…そんな狼狽えている私の態度を可と捉えたヴァシュアは嬉々としながら私の腕を引っ張った。


「ささ、白竜様。マッサージ、致しましょう!」

「い、今から?」

「当然でございます!白竜様は、他の竜の方々とは違い、透き通るような肌の白さです。磨けば磨くほど、輝くはずです」

「いや、私はあんまり、そういうの、興味ないっていうか」

「関係ありません!ささ、行きますよ」


この後、私が悲鳴をあげてしまったのはまた別のお話。

 

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