数一【学園パロディ】
学園パロディ。
本編とは設定が異なる別物。
やまなし、おちなし、いみなし。
昼休み。高等部二年のアズとギルは、学食で昼食をとろうとしていた。
「やっと見つけた! こんなところにいた!」
そこに現れたのは、度肝を抜く超ロングヘアの少女だった。中等部一年のグレイスである。なにより目を引くのは、全身に巻き付けられた包帯だ。そんな彼女は、アズに好意を持っているらしい。休み時間には、よく教室にまで出没する。友達はいないのだろうか。
「そういえば、アズ、眼帯してるけど、どこか悪いの?」
向かいの席に座り、アズの昼食の唐揚げを勝手に頬張りながら、グレイスが聞いた。ギルが答える。
「これは、小さい頃の事故での怪我。僕を庇って失明してしまってね」
「そっかあ……大変だったんだね。あたしだったら、そんな大怪我堪えられないよ」
しみじみとグレイス。
「……いや、ちょっと待て。どう見てもグレイスのが重傷だろ」
アズは指摘する。包帯は怪我のためじゃないのか。ひどい皮膚病か何かなのか。それとも――
「ああ、これ? 実はね、あたし、包帯で魔力を封じてるの。包帯を外すと本来の姿に戻ってしまうのよ」
これが、いわゆる「ちゅーにびょー」ってやつなのだろうか。