罰ゲームな姉 2
公園は意外に広い。
俺はベンチに座り、携帯電話を開いて待つ。
「……」
その時、百合姉からメールが届いた。
〈将。私たちを見つけたら、将の好きなようにしても良いわ。ただ、絶対にキスだけはする事。わかった?〉
なんちゅう罰ゲームだこれ。
姉さんが見つかったら俺にキスされるってどこのエロゲですか。
「……やるしかないのか?」
しかし、他の姉さんたちはその事を知っているのだろうか。
そんな心配を予測したかのように、百合姉からメールが再び届く。
〈理子たちにも伝えてあるわ。本当に好きにして良いのよ?〉
心臓の鼓動が異常に早まるのを感じた。
携帯電話を持つ手が、知らない間にぶるぶると震えてしまっている。
俺が……姉さんたちを、好きに出来る?
「嘘だろ……百合姉、勘弁してくれよ」
姉さんたちが隠れているであろう草むらを遠くに見た。
何はともあれ、まずは見つけなければいけないのか。
草むらを探しても姉さんたちはいなかった。
公園の遊具を探しに、そちらへと足を向ける。
「……いねぇな」
遊具で隠れられる場所といえば、半円に穴がいくつかあいた例のあれ。
そこの陰に隠れ、こっそりと中を覗く。
「……」
そこには、愛理姉が隠れていた。
後ろを向いていて、こちらにはまだ気がついていない。
音を立てないように愛理姉を捕まえるよう、そっと中に入る。
「……捕まえた!」
「ひゃっ!?」
愛理姉が振り向いたと同時に、俺は両手を前に突き出した。
見事にタイミングが合ってしまい、俺の両手にはやわらかい二つのお山が。
「ぁっ……」
「……」
や、やわらかい……って違う! 俺は何をやってるんだ!
愛理姉は目をとろんとさせ、その場で後ろの遊具にもたれかかる。
「いいんだよ……別にやっても」
「そ、そんな事するわけないだろ!」
俺は両手を離し、愛理姉から少し離れる。
愛理姉は俺のほうを向いて、自分の服に手を掛け始めた。
って何するつもりだよ! 頼むから正常に戻ってくれ愛理姉!
「……愛理姉の馬鹿野郎」
「将君……」
俺は愛理姉を思い切り抱きしめた。
愛理姉は俺の腕の中で目を閉じ、そのまま俺に向かって顔を近づける。
「……誰かに見られるかもしれないけど、いいんだな?」
「将君とならいいよ」
愛理姉はそう言うと、強引に俺と唇をくっ付けた。
いつも思うが、最近キスすること自体がルーズになっているような。
だけど気持ち良いし、それより姉さんたちと一緒にいられるからいいか。
「んっ……」
「んん……」
俺と愛理姉は長い長いキスをした後、互いに顔を見つめ合う。
誰かが見ているかもしれない状況の中、愛理姉は口を半開きにしていた。
逃げる事を諦めた、弱弱しい女のようでもあった。




