罰ゲームな姉 1
涼しくなってきた頃、俺は部屋でのんびりと本を読んでいた。
美香姉から借りた本だから早めに読みたいところだが、ノックで読書は一旦中断される。
「入って良いぞ」
ドアが開いて、中に百合姉が入ってきた。
まだ外は明るいのにな。何するつもりなんだろう。
「将、これからゲームでもしない?」
「ゲーム? また変なネトゲか?」
「違うわよ。みんなで面白いゲームをするの」
百合姉は俺の顔を覗き込み、口の端で妖しげに笑った。
また変なゲームに巻き込まれちまいそうな気がするが。どうなるんだこれ。
公園に、俺たち白金家は集合していた。
姉さんたちは何をするのか、まだ百合姉から聞いてないみたいだ。
「百合姉、どんなゲームするんだ?」
「ふふっ。聞きたい?」
「お姉ちゃん、何のゲームするの?」
愛理姉はわきわきしながら、百合姉に笑顔で問いかける。
百合姉の発した一言は、とても衝撃的な言葉だった。
「かくれんぼ。罰ゲーム付よ」
「ふぇっ!?」
「かくれんぼ?」
「……面白そう」
俺の背中が一瞬震え上がった。
かくれんぼ。小学生でも出来る遊びなのに、何故こんなに震えるんだ。
それは、百合姉が何か変な罰ゲームを考えているからなのか?
「将が鬼担当で良い?」
「い、いいけど、その罰ゲームってなんだよ?」
「メールで後で送るわ」
凄い嫌な予感しかしない。事前に何も伝えられないなんて。
百合姉の目が、笑っていた。