同人誌と姉 1
この間、理子姉が何故か震え上がりながら居間にやって来た。
晩飯前という事もあり、俺たちは既に全員集合している。
「理子姉、どうしたんだ?」
「……ちょっとね」
「元気がないわね。どうしたの?」
百合姉も問いかけるが、理子姉は何も言わずにテーブルの前に座る。
何かとんでもない物を見てしまった、という感じの顔だ。
テーブルに食事が並び、俺たちはくるりと円状に座る。
「……」
食べ始めた後も、理子姉の顔は暗かった。
何かショックを受けたのであろうか。理子姉がこうなるなんて珍しい。
「理子姉、本当に平気?」
「大丈夫だよ……」
いや、絶対に大丈夫には見えないだろ。
自分が何か悪い事をしたのか、と思い返すが、ここ最近は何もない。
昨日の晩は元気だった気がするぞ。豚の角煮をがつがつと食べていた。
「腹壊したのか?」
「お腹は平気。心配してくれてありがとう」
理子姉は笑顔を作ると、朝ごはんをゆっくりと食べ始めた。
理子姉の事が心配なので、俺は理子姉に直接たずねることにした。
ノックするが、中からは何も音がしない。寝ているのだろうか。
「……」
寝ている生活は流石に身体に悪いので、俺は心の中で謝りつつ中に入る。
やはり、理子姉はベッドに倒れこんでいた。
何かの本を読もうとしたが、読んでいないらしくて地面に落ちてる。
「理子姉、ごめん」
俺は落ちている本を拾うと、理子姉が起きないよう気をつけて、中を見た。
「……!」
表紙には、子供バイバイな姿をした理子姉の絵が書かれてあった。
一旦目をそらし、俺は頭の中で状況を整理する。
「なんじゃこりゃ」
そして、今俺が手に掴んでいる本が何かをやっと理解できた。
これは、俗に言うエロ本だったのだ。
しかも、理子姉の二次創作の奴。
誰かガチで作ってくれ(殴