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引きこもる姉 4(終)

廊下は真っ暗だ。

階段を下り、俺は台所へと向かう。

台所では愛理姉が皿洗いをしていた。

「あ、将君」

「愛理姉か」

「どうしたの? 元気ないよ?」

一瞬で心の中を見透かされてしまい、俺はその場でうつむいた。

台所においてある椅子に座り、その場で少し考え込む。

愛理姉は義理の姉なのだ。血はつながっているが、腹違い。

だとしたら、一体何なんだ? 俺はどうしたらいいんだ?

「……将君?」

「愛理姉……」

頭の中が、何かに埋め尽くされていく。

心の闇が、俺の一瞬の隙を付いて広がっていくかのようだった。

「何かあったの?」

エプロン姿の愛理姉が徐々に近づいてきて、俺の顔を覗き込んだ。

そして、俺の感情の枷が外れた。

身体が勝手に動き、愛理姉を強く抱きしめてしまう。

「ひゃっ……!」

「静かに」

「将君……様子、変だよ」

辺りには誰もいない。

そして、俺と愛理姉を阻む物は、何も無くなった。

感情の波に任せてしまい、愛理姉を壁際まで追い詰める。

「愛理姉、ごめん」

「将君……!」

そして、俺の意識がそこから消えて……




朝、俺は自分の部屋から出られずにいた。

いつもは起こしに来るはずの愛理姉も来ない。

美香姉も、理子姉も、百合姉も来なかった。

「……」

後悔はしていない。

俺は、愛理姉たちの温もりを忘れずに生きていけばいいのだ。

その方が、俺も、姉さんたちも悲しまない。

所詮姉弟という関係だったのだ。

「……」

他人は姉になれるが、姉は他人にはなれない。

もう、ここにはいられない。


次が第二期最後の話だよ。

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