引きこもる姉 3
俺の母親は、愛理姉たちの母親とは違う。
父親は同じでも、俺と美香姉だけは別の母親から生まれていたのだ。
「私と将は腹違いの姉弟。だから、愛理姉たちは義理の姉」
「どういうことなんだよ……なんで、なんでこんな物が」
「一昨日、こっそり家から抜け出しておばさんの実家に行ってた」
美香姉は淡々と話す。
それによると、俺と美香姉は一度他の母親から生まれていたが、父さんとの間に何かがあり離婚。そして、俺たちを連れた父さんが愛理姉たちを子供に持つ母親と再婚。
どちらも、交通事故で亡くなってしまっている。実質本物同然の姉弟だ。
「信じられない」
「証拠」
そう言うと、美香姉は急に俺に抱きついてきた。
美香姉の胸が俺の胸元を軽く小突き、美香姉は俺をじっと見る。
目が、いつもの目に戻ってきていた。
「百合姉はE。理子姉はD。愛理姉もD。……そして、私はB」
「いや、それは違う気が……」
「顔もよく見ると違っている。私は愛理姉にはあまり似てない」
確かに、美香姉と愛理姉には少しだけ差があった。
よく見るとわかるが、普通に暮らしていては何もわからない。
美香姉は俺から離れ、小さな声で言った。
「将はお姉ちゃんたちと結ばれるべき。私は諦める」
「美香姉……いつも、いつも無理しすぎてるよ」
「大丈夫」
「違う。美香姉、今日は目が弱いよ」
その瞬間、美香姉の視線が迷った。
俺は美香姉をそっと抱きしめ、耳元でささやいた。
「俺はまだ決めてない。愛理姉とかもしれないし、美香姉とかもしれない」
「でも、私は……」
「それでも構わない。選んだ以上、俺はその人を守りたい」
「……」
美香姉は口をつぐんだ。
俺は、美香姉の気が済むまでずっと抱きしめ続けた。
どれくらい眠っていただろうか。
「……ん?」
部屋に美香姉の姿は無い。
窓から外を見ると、もう既に真夜中になっていた。
「どうしたんだろ」
これ以上美香姉の部屋にいても何も無いか。
俺はそう思うと美香姉の部屋から出た。
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