看病する姉 2
「……何だか、二人暮らししてるみたいだね」
「ああ」
「将君と2人だけだったら、毎日こんな感じなのかな」
「……だろうな」
クラスメイトで仲がいい人はあまりいないから、多分そうなるのだろう。
チャーハンを食べながら俺はリモコンを操作して、テレビをつける。
〈だめだよ、姉さん……こんなことをしちゃ〉
〈分かってるわ。それでも、私……〉
俺と理子姉は口からチャーハンを吹き出しそうになってしまった。
何をやっているかは、聞いてお分かり。姉弟の恋愛ドラマである。
「……チャンネル、変えるか?」
「そ、そうね」
チャンネルを変えると、丁度教育テレビだった。
内容は高校数学。分からんわい。……前にも見たことがあるような気が。
「……変えよう、将君」
「だな」
もう一回変えると、今度はニュースの番組だった。
何だか理子姉の特集やってるぞ。
〈白金理子さんは、実は……!〉
「わぁぁぁぁ!」
急に理子姉が俺からリモコンを奪い、チャンネルを変えてしまった。
〈極度のブラ……〉
「……セーフ」
「どうしたんだ? 理子姉」
「な、なんでもないよ。チャーハン食べよう?」
結局面白い番組はやっていなくて、またさっきのドラマに戻ってしまった。
〈姉さん……もう俺たち、ダメだな〉
〈道、踏み外しちゃうね……〉
俺と理子姉は一瞬で顔を真っ赤にした。
ドラマでやっているのは、朝にやるのか疑問である濡れ場シーンだ。
チャンネルを変えようとしたが、俺は手が震えてしまい、リモコンを下に落としてしまう。
「あぐっ」
リモコンが足の甲に当たり、俺はその場でけんけんした。
その間にもテレビではどんどん進んでいき、理子姉はがくがく震えている。
〈姉さん、俺、ずっと姉さんの事が……!〉
〈私も……あなたが欲しい……!〉
「はわわわわわ」
俺がリモコンを取り、テレビを消した頃には理子姉は灰になっていた。
おーい、理子姉? ……む。