コスプレイヤーな姉 2
その後、案の定百合姉に2人で呼び出された。
「狼にならなくて良かったけれど、それ以上やったらダメよ?」
「百合姉が言う事なのk」
「分かった?」
「はい」
隣の愛理姉は、メイド姿のまま顔を真っ赤にしている。
よほどさっきの事が愛理姉にダメージを与えてしまったらしくて。
「それに愛理。あまり将を誘惑しない事。将はメンタル面は弱いのよ」
「……わかりました、お姉様」
「よろしい」
む、何だか言い方が変わっている気が。
愛理姉、本当にメイドさんになってるんだな。すごい。
「……分かったなら将にカルピス運んであげなさい。喉が渇いているわよ」
「何故分かったし」
「勘よ」
愛理姉はそそくさと台所へ行ってしまった。
百合姉は俺の方を見て言う。
「愛理はあなたの言う事は何でも聞くわ。いろいろやっちゃいなさい?」
「百合姉さっきと話が違うtt」
「愛理はMよ。それくらいやってあげるのが男」
「ちょ、待って」
「さっさと行きなさい」
最高に嫌な予感を抱えながら、俺は渋々部屋へ戻った。
愛理姉とは絶対に変なことをしない……しないぞ!
旅館で百合姉が愛理姉に変なことを吹き込んでしまったらしく。
「将く……ご主人様、今日私と寝てくださいませんか?」
「……いいよ」
「ありがとうございます」
何だか徐々に百合姉化が進んできているような気がする。
一体どうしたら愛理姉がこうなってしまったのかと考えている俺だった。
メイド姿の愛理姉が隣に入り、俺の右腕をとってそっと抱く。
「……」
「……」
会話が出てこない。
普通ならここで俺が何かしら命令するのであろうが、俺は全く分からん。
百合姉の言っていた言葉を思い出し、俺はとっさに言う。
「……もうちょっと寄って良いぞ」
「ありがとうございます。ご主人様」
俺の理性にクリティカルヒット。
愛理姉はさらに寄ってきて、そのたゆんたゆんした胸が腕に押し付けられる。
……やわらかいな。自分でも何を言ってるんだか知らんが。
「ご主人様、抱いてもよろしいでしょうか?」
「……」
一瞬フリーズしてしまった。
頭の中で急いで整理をつけ、メイドになっている愛理姉が望むであろう答えを出す。
「いいぞ」
「……では、失礼させていただきます」
愛理姉は俺を前から抱きしめてきた。
……か、可愛いだと。
愛理姉のエプロンはぴんと張っていて、白いヘッドドレスがまぶしい。
愛理姉は口を半開きにしたまま、俺の方へ顔を近づけてくる。
「ご主人様……」
「何だ?」
こう呼ばれるのも慣れて来た。凄いね俺の適正能力。
と現実逃避している間に、愛理姉はささやくような声で言った。
「私を、思い切りいじめてくれませんか?」
ぶごっ。