表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/375

病気な姉 2

朝ごはんを持っていくと、そこには理子姉と百合姉もいた。

「ありがと。将君」

「全員の分だぞ」

その時、百合姉は鼻をむずむずさせた後にくしゃみをする。

「だ、大丈夫?」

「大丈夫よ……将」

百合姉も愛理姉と同じく、顔を赤くしてぼーっとしていた。

そういえば最近、百合姉はカフェでずっと忙しかったみたいだしな。

「過労じゃないのか?」

「適度に休みは取ってるのにね……心配してくれてありがとう」

朝ごはんが並んだが、百合姉と愛理姉はあまり食べられないらしい。

2人とも、手があまり動いていないのだ。

「……愛理姉、大丈夫?」

美香姉が愛理姉に言った。

愛理姉は笑顔を作ると、美香姉の言葉に返す。

「大丈夫……ごほっ」

見るからに、二人はとてもつらそうな様子だった。

今日は愛理姉と百合姉、自宅で安静かな。

「百合姉は仕事休んで。愛理も学校行かないで、二人とも安静にしててね」

「そうするわ。理子」

「ごめんね」

俺と美香姉は顔を見合わせた。

……記憶違いだろうか。理子姉、確かどこかに行く予定がある。

「あれ、理子姉どこかに行くんじゃなかったの?」

理子姉は少し悲しそうな顔をして言った。

「仙台まで行って来るわ。三日くらいかかりそう」

「……待ってる」

美香姉は言った。

俺もうなずき、理子姉に向かって微笑む。

「早く食べて、学校に行ってきなさい?」


俺と美香姉は並んで歩いていた。

向こうからは健一がやって来る。

「おはよう、将」

「よう」

俺は健一に、家で愛理姉と百合姉が風邪を引いた事を伝えた。

健一はそれを聞くと渋い顔になり、俺のほうを見る。

「お前、料理とか大丈夫なのか?」

「多分大丈夫だよ。美香姉もいるし」

「……」

美香姉は少し下をうつむき、頬をほんのりと赤くした。


何だか頭が重い。

授業中、変な違和感を感じつつも俺はノートをとっていた。

少し遠くの位置にいる美香姉の背中は必死だ。

「……」

愛理姉と百合姉、大丈夫かな。

理子姉はライブに行っちゃったし。

……俺と美香姉だけか。二人を支えられるのは。

「……」

授業の内容は頭からすっぽーんと抜けていった。

家帰った後、何したらいいんだろ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ