病気な姉 2
朝ごはんを持っていくと、そこには理子姉と百合姉もいた。
「ありがと。将君」
「全員の分だぞ」
その時、百合姉は鼻をむずむずさせた後にくしゃみをする。
「だ、大丈夫?」
「大丈夫よ……将」
百合姉も愛理姉と同じく、顔を赤くしてぼーっとしていた。
そういえば最近、百合姉はカフェでずっと忙しかったみたいだしな。
「過労じゃないのか?」
「適度に休みは取ってるのにね……心配してくれてありがとう」
朝ごはんが並んだが、百合姉と愛理姉はあまり食べられないらしい。
2人とも、手があまり動いていないのだ。
「……愛理姉、大丈夫?」
美香姉が愛理姉に言った。
愛理姉は笑顔を作ると、美香姉の言葉に返す。
「大丈夫……ごほっ」
見るからに、二人はとてもつらそうな様子だった。
今日は愛理姉と百合姉、自宅で安静かな。
「百合姉は仕事休んで。愛理も学校行かないで、二人とも安静にしててね」
「そうするわ。理子」
「ごめんね」
俺と美香姉は顔を見合わせた。
……記憶違いだろうか。理子姉、確かどこかに行く予定がある。
「あれ、理子姉どこかに行くんじゃなかったの?」
理子姉は少し悲しそうな顔をして言った。
「仙台まで行って来るわ。三日くらいかかりそう」
「……待ってる」
美香姉は言った。
俺もうなずき、理子姉に向かって微笑む。
「早く食べて、学校に行ってきなさい?」
俺と美香姉は並んで歩いていた。
向こうからは健一がやって来る。
「おはよう、将」
「よう」
俺は健一に、家で愛理姉と百合姉が風邪を引いた事を伝えた。
健一はそれを聞くと渋い顔になり、俺のほうを見る。
「お前、料理とか大丈夫なのか?」
「多分大丈夫だよ。美香姉もいるし」
「……」
美香姉は少し下をうつむき、頬をほんのりと赤くした。
何だか頭が重い。
授業中、変な違和感を感じつつも俺はノートをとっていた。
少し遠くの位置にいる美香姉の背中は必死だ。
「……」
愛理姉と百合姉、大丈夫かな。
理子姉はライブに行っちゃったし。
……俺と美香姉だけか。二人を支えられるのは。
「……」
授業の内容は頭からすっぽーんと抜けていった。
家帰った後、何したらいいんだろ。