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白金家の日記 -お姉ちゃんたちとのハーレム生活-  作者: 白金 将
第12期 あまあまポートフォリオ
359/375

スランプな姉 4(終)

「え、理子姉、スイッチ入ったの?」

「らしいよ。だから夜ご飯には来ないと思う」


 台所で料理中の愛理姉にそのことを話す。そうすると彼女は合間合間に手早くおにぎりを作り、それに今晩のおかずも合わせた簡単な夕食セットを作る。前にもこういうことは何度かあったためか、愛理姉もすっかり慣れたようだった。


「これ、お姉ちゃんに届けておいで。今日は将君が力をあげる日だと思うから」

「分かった、行ってくる」

「あとで今日のデートの話聞かせてね? 私も将君にぎゅーってしたい……」


 そう言った愛理姉は新妻のように頬へキスを送るとこちらに夕食のお盆を託す。後で理子姉とのデートのお話をすることを約束した俺はそのまま理子姉の頑張っている部屋へ向かった。


「理子姉、入るよ」

「うん」


 お盆を持って部屋の中に入ると、暖色灯の下で理子姉はずっと机に向かって何かを書き進めていた。時折マウスでPCを動かしては一連のメロディーを流し、ああでもない、こうでもない、と独り言をつぶやきながらメモに二重線を引いたり追加の単語を書き加えたりしている。

 理子姉がふと指さした場所が空いていたため、姉さんの夜ご飯はそこに置いた。


「ねえ、将君」

「ん?」

「お願いなんだけど……傍にいてくれないかな」

「……わかった」

「眠くなったら寝てていいからね」


 そうお願いされた俺は先にリビングで自分の食事を手早く済ませ、飲み物やお菓子を少しだけ持って理子姉の部屋に戻ってくる。そして彼女のベッドに座りながら姉さんが頑張っている後ろ姿を優しく見守った。

 オレンジ色で柔らかく照らされる姉さんの背中は見ているとノスタルジーな気持ちになる。昔の人もアーティストたちの必死な背中をこういう風に見ていたのだろう。


「ラブソング?」

「うん、そんなとこ。でもまだちょっと恥ずかしいかな」

「それってやっぱり――」

「当たり前じゃん、将君のこと考えながら書いてるんだよ……?」


 唐突なアピールを聞いてぎゅ、と胸の奥が締められる。


「将君が私のことを考えてダメになっちゃうみたいに、私も、将君のことを考えてダメになっちゃう時はいっぱいあるよ。今だって、抱きしめたい気持ちを抑えて歌詞書いてるんだから」

「……やっぱ、凄く好き」

「わーっ、そんなこと言わないでっ、我慢できなくなっちゃう!」

「ごめん」


 理子姉はペンの尻を口に当てながらしんどそうに顔を赤くして息をしている。

 長年の付き合いだから、今、姉さんがどんなに辛いのかを察することができた。


「好き……好き……抱きしめたい、ぎゅってしたい、キスしたい……」


 ぶつぶつ、ぶつぶつ。自分に向けられている独り言があまりに尖っていたためかベッドで身を転がして俺の方が悶えてしまう。姉さんへの想いが抑えきれなくなる。


「甘えさせたい……んーっ、甘やかしたい。ぎゅってして、よしよしして……」

「理子姉……しんどい……」


 姉さんが普段使っている布団を丸めて抱き枕にしながら、それを足で挟み込むようにして行き場のない気持ちが爆発するのに耐える。しかしそうしているうちにも頭の中は幸せで真っ白になり、蒸発するように意識が落ちていった――




 一時間くらい、眠っていたか。少しぼんやりする頭で目を覚ますと俺はしっかり掛け布団の中で暖められていた。理子姉のことで限界化したこともあるし、外出して歩いていた疲れがそこそこあったのも寝入ってしまった原因だろう。

 そんなことを考えながら、ふと姉さんの方が気になって身体を回転させる。するとそこには理子姉も一緒に横になっていて、身体をこちらへ向けて一緒に添い寝してくれていた。


「理子姉……?」

「んー、起きた?」

「起きちゃったけど……歌詞、できた?」

「うん、山は越えたよ」


 疲れているのか、理子姉の声は少し小さい。

 彼女は俺の身体に腕を回すと緩い力で抱き寄せてきた。


「んーっ、好き、好き……」

「俺も、理子姉のこと、好き」

「嬉しいなぁ……♡」


 もふ、と優しく顔に当てられる姉さんの胸。それがスイッチになったのか俺は理子姉に沢山甘えるようにぎゅっと抱き着いてしまった。ぽん、ぽん、と頭を優しく叩かれながら暖かみの中で溺れていく。


「おっぱい好きだね」

「うん、好き」

「あんまり将君がそうやってくるから、お姉ちゃん、甘やかしたくなっちゃう」

「甘やかして……」

「はいはい、しょうがないなぁ」


 俺がどうして欲しいかも、理子姉には全部筒抜けになっているようだった。背中に腕を回され、頭の後ろを押されながら姉さんの胸の辺りに顔を突っ込まされる。そして甘く濃い匂いを嗅がされながら、腰と尻の間にある弱い所をなでなでしてきた。

 まるで赤ちゃんに戻ったように心も体も理子姉で満たされていく。それだけでも十分だったのに――


「今日はたくさん付き合ってくれてありがとね……♡ お姉ちゃん、とっても楽しかったよ? また二人でデートして、甘ーい思い出いっぱい残そうね♡」

「りこねえ、すき……」

「んっ、かわいいっ♡ 将君のこと、お姉ちゃんの所有物にしたい……♡」


 服の上からでも胸が柔らかい。抱き心地も最高。なでなでされるのが好き。

 そんな身体の感触も、匂いも、声も、周りにあるのも全部、大好きな人のもの。


「ねえ、将君……お姉ちゃんと、結婚、しちゃお?」

「するっ」

「わーっ、ダメだよ、そんなすぐにおっぱいだけで決めちゃ」

「やだ、理子姉と結婚する! おっぱい好きっ」

「もう、将君はえっちなんだからっ……」


 ぎゅっと姉さんのことを抱きしめながら我が儘を言って困らせる。

 それでも許してくれる。だからこそ、もっと甘えてしまう。


「それだったら、もっと、沢山甘やかしてあげなきゃね♡」

「いいの……!?」

「うん。将君になら"なんでも"したくなっちゃうの……♡」


 気の抜けた声で理子姉はそう言うと片腕を布団の中に戻してごそごそ動かす。もっと甘やかしてもらえる、もっと良くしてもらえる。経験から分かっていた俺は、理子姉の特大あまあまサービスが始まるのをぼんやりした頭で楽しく待っていた……

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