台風直撃の姉 4(終)
「将……」
私は、将を抱いたままずっと眠れなかった。
何だか違う。いつもの私じゃない。
いつもだったら、将を思い切り抱いて眠りにつけるのに。
おばさんの言葉が、私の行動を引き止めているからなのか。
「……」
将は、まるで五歳くらいの男の子のようだった。
私にぴったりとくっついて離れず、私の胸に顔をすりすりして寝ている。
ひょっとしたら、将は甘えん坊なのかも。
そんな風に思っていたら、私の身体は徐々に将を求め始めた。
「……嘘。私、本当に……」
将の服を一枚脱がして、シャツ一枚にしてやった。
将の、私の弟の汗のにおいが私の嗅覚を刺激する。
私にとって、将の汗のにおいは麻薬に等しかった。
においを感じれば感じるほど、私の理性が崩れ落ちていく。
そして、将がいない時もそれを求めようとしてしまうのだ。
私の身体中から、じわっと汗が染み出してくる。
「将……私……!」
私の記憶は、そこで途切れていた。
「……はぁ、はぁ」
気が付くと、私は将の上にまたがっていた。
将は目を覚ましたらしく、こっちを薄目で見ている。
外は大分明るくなっていて、私と将が見えるくらいまで明るかった。
どちらも、下着姿だ。
「百合……姉?」
私は、後悔していた。
将をこんな姿にしてしまった事を。
私の想いが、将と姉弟の関係を超えてしまった事を。
「ごめんね……将」
将は、顔を赤くしていた。
私は将に抱きつくと、その体制のまま再び眠りについた。
将と、ずっとこうしていたい。
ずっと、このまま時間が止まってくれたらと思った。
外の台風は大分収まったようだ。
百合姉と一緒に寝ていた俺は、起きてしばらくでその事に気づいた。
というのも、俺の服装がシャツとパンツだったためである。
「……百合姉」
俺は、その事に気づいてからしばらく顔が真っ赤だった。
お互い下着しか着ていない状態なのだ。
まだうっすらとしか明るくはないが、朝になったらな……と。
愛理姉や理子姉が入って来た時何と言えば良いのか。
「……ねぇ」
隣で、百合姉が俺にたずねてきた。
どうやら、今さっき起きたようだ。
「何だよ」
「怒ってる? ひょっとして」
百合姉の声は、静かだった。
言葉の裏に、申し訳なさがにじんでいるのが感じられた。
「怒ってないよ」
俺は、見えるかどうかはわからないが笑顔を作った。
確かにシャツとパンツの状態にされたのは恥ずかしかったが。
慣れると案外そうでもない。まぁ暗いからだけどね。
……ただ、百合姉の腕が俺の腕に触れてくる度に、俺の身体が震える。
「……もう一度、将を抱いていい?」
百合姉は、いつもと様子がまるで違っていた。
俺に許可を求めている。俺の答えを待っているのだ。
「……いい、ぞ」
百合姉は俺を抱いた。
丁度百合姉の胸がまくr(ry
当たる度に、俺の呼吸は激しくなっていく。
そんな中、着々とお外では朝日が昇っていた。
俺と百合姉が抱き合っている中、ドアが開いた。
「将く……」
その声は……理子姉?
ドアがばっと閉じて、俺と百合姉はそのまま固まる。
「……」
「……」
今の格好を確認すると、どちらも下着姿だ。
しかも抱き合っている。
「……まずいんじゃないか?」