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年末の姉2018 2(終)(愛理姉 理子姉 なぎささん 希さん)

 美香姉にゲームでボコボコにされた後、百合姉、千秋さんと入れ替わる形で、今度は理子姉となぎささんがこたつの中へ入ってきた。ひとしきり満足したような美香姉、百合姉、千秋さんは一緒に買い物へ出かけ、台所で作業をしていた希さんがこちらへ戻ってくる。


 今こたつを囲んでいるのは、俺と愛理姉と理子姉、そしてなぎささんと希さんの五人。丁度愛理姉が目を覚ましたあたりで、理子姉がなにやらボードゲームのようなものを出してくれた。これで年越しまで遊ぼう、ということである。


「理子姉、これ何だ?」

「ちょっと面白そうだから手を出しちゃった……」

「『ちょっとエッチなすごろくゲーム』……お姉ちゃん?」

「理子さん、あなたって人は……」

「え、エッチって、ええっ」


 にしし、と意地悪な笑みを浮かべながら箱を開ける理子姉。

 その横で頬を赤らめる愛理姉、ため息をつきながらも気になって仕方ないなぎささん、恥ずかしそうだけど目を離せない希さん。みんなやっぱりそういうこと好きなんじゃないか……


「や、別に全部脱いだりはしないよ」

「理子さん、そ、その、脱ぐのが普通って感じに言わないでくださいっ!」


 箱からちょっとピンク色のすごろくを引っ張り出した理子姉は説明書を見ながら駒の配分をする。その間にマスに書いてあることをちらと見てみたが、んまぁそういうことだった。


 ちょっとだけ温まった変な雰囲気でお互いにちらちらと顔色を窺う。言い出しっぺの理子姉はもちろん乗り気だ。そして、他の姉さんたちは人によって違いはあれど、みんなドキドキした様子で見守っていた。


「えへへ、それじゃ始めるよ。年齢順でいいよね」

「将さん、愛理さん、希さん、わたし、理子さん、の順ですね」

「将君、はい、サイコロ」


 愛理姉から桃色のサイコロを渡された俺は、軽く振ってみる。

 出た目は三。三つ進んだ先のマスは――


「大好きな人のエッチなところを三つ言う……ええっ」

「ん……普段なら取り合いだけど、今回は理子姉でいいんじゃない?」

「わ、私も、それでいいと思います。提案したの、理子さんですし」

「ちょっと悔しいけど、筋は通ってます……」


 皆の雰囲気によって「理子姉のエッチなところを三つ言う」ことになってしまった。肝心の理子姉はと言うと、嬉し恥ずかしといった表情でこっちを見つめて待っている。に、逃げられない……!


「えっと……『優しくて何でもしてくれそう』」


 こくこく、と皆が頷く。理子姉が目をぱちくりさせる。


「そ、その、『おっぱいが綺麗』」

「あー」


 何人かが分かったような声を出して頷いた。理子姉が俯く。


「三つ目は……えっと、『抱き心地が良くて何度も抱きたくなる』……」

「えっ、将君、ちょっと……♡」

「わああっ、何回もやってる人の意見だ……♡」


 赤面しながらむずむずする理子姉。周りの人たちも頬を染めながら色づいた野次馬を飛ばす。それに耐えられなかったのか、理子姉がサイコロを愛理姉の手にむんずと握らせた。あんなに照れてる理子姉を見るのも珍しい。

 いや、実際、おっぱいが綺麗で、なんでもしてくれそうだし、抱き心地もいいし……ああっ、だめだ、変なことまで考えてしまう……


「次は私の番か……それっ」


 愛理姉がサイコロを振る。ころん、と転がって出た目は四。

 四マス進んだ先にあるのは――


「えっと……『今つけてる下着を説明する』、ええっ!?」

「あはは、こういうの引いちゃったかー」

「た、確かにちょっとエッチ、で留まってますけど、こんなのあるんですね……」


 皆の視線が愛理姉の胸に突き刺さる。

 愛理姉は鬼灯のような顔になると、恐る恐る、着ているセーターを胸元までめくり上げた。


 現れたのはピンク色のフリフリが付いたかわいらしい下着。

 そしてそのサイズを見て、やっぱり愛理姉って巨乳なんだなと思い知らされる。


「こ、この間買った、フリル付きのピンク色のブラです……将君が、こういうの好きかなって考えながら、おっぱいの上半分が見えるようなのを、買いました……♡」


 愛理姉の熱い視線が俺の方に向けられ、思わずびくりと震えてしまった。

 けっこう踏み込んだ説明を聞いて周りも一瞬だけコメントがなくなる。


「え……愛理って、夜のことも考えて、下着買ってるの?」

「あっ、そ、そういうわけじゃっ」

「愛理さん、すっごくエッチです……♡」

「やあっ、恥ずかしい、見てるこっちも恥ずかしいですよっ……」


 そもそもが「説明する」だから見せる必要はなかったのだ。

 や、やっぱり、愛理姉って、そうだったんだなぁ……


「~~~~!!! 次! 希さん、早くサイコロ振って!」

「は、はいっ」


 愛理姉が服を元に戻すと同時に希さんがサイコロを振る。

 彼女の目は二。そこにあるマスは――


「ん……『ちょっとエッチな体験談を話す』、ですかっ」


 もしかしたら結構やばい話が飛び出すのではないか、人が人なだけにちょっとだけ緊張してしまう。少しだけもじもじとしていた希さんは、その口を開いてちょこちょこと語り始めた。


「で、電車に乗ってた時、です……私からちょっと離れた所に、おっぱいの大きな女子大生の人が乗ってて……満員だったのもあって、その人が痴漢されてて」

「わ……やっぱりそういうのあるんですね……」

「しかも、二人がかりで、絶対に逃げられないようになってて……しかも、その女子大生の子、最初は嫌がってたのに、最後は、自分から……」


 うわぁ……という空気が漂う。

 希さんは口ごもった後、このよくわからない話をなんとか締めようとする。


「それ見てた時、将さんのことを思い出して……ちょっと、興奮しちゃいました」

「ええっ、そ、そっちですか?」

「うん、将君に痴漢されたらって、たまーに考えるよね……」

「女子大生の子も気になりますけど……でも、将さんだったら……」

「え、なんでみんな俺の方見てるの」


 その場にいる全員がこちらへ熱い視線を送りながら思い思いの妄想に耽る。

なんだか場のピンク度が一気に増してしまった。このままではいけない。次の人――なぎささんにサイコロを急いで手渡す。


「えっ、あ、わ、私ですかっ」

「早く振ってください……」

「そう、ですね。それっ」


 なぎささんが慌てたようにしてサイコロを振る。

 出た目は六。そこに書いてあったのは――


「ええと、『よく妄想する内容を教えて』……ええっ……」

「わー、なぎさちゃん、いつも何考えてるの?」


 理子姉に追い打ちを掛けられたなぎささんは視線を逸らしてしまう。

 ただ、それでもすごろくのルールを破る訳にはいかないのだろう。渋々といった表情で、それでもかなり恥ずかしそうに語り出した。


「……えっと、私と、理子さんで、プロデューサーの将さんに枕営業しているのを」

「わーっ、なぎさちゃんちょっと待って! なんで私もいるの!」

「最初は私だけで頑張ってたんですけど、ある時、その場に理子さんがやってきてしまって、最終的に二人で将さんのことを……♡」

「すごい……おっとなぁ……」

「はわわぁ……」


 きりっとすました顔で、それでもちょっとだけニヤニヤしながらなぎささんが話すのを聞いていた愛理姉と希さんが顔を見合わせる。その横で理子姉がなぎささんに思いっきり抗議をぶつけていた。


「と、ともかく、これでいいですよね? ほら、最後は理子さんですよ」

「むきぃ……それじゃ、振るよ? それ」


 ちょっとだけ不満げな理子姉がサイコロを振ると、五の目が出る。

 五マス進んだ先にあるのは……


「ん……『隣の人を思いっきり甘やかしてみてください』? ふーん……」

「隣の人……あ」

「一応私も理子さんの隣ですが、多分、そういうことですよね」

「あーっ、将君がんばれー」

「わ……年の暮れにいいもの見られそう……」


 小悪魔のような笑みを浮かべる理子姉が狙いを定めたのは、紛れもなく俺。徐々にこちらへすり寄ってくるのを止めることもできず、俺はあっという間に理子姉の腕に絡めとられてしまった。

 そして、むにん♡ と容赦なく押し付けられる理子姉のおっぱい。

 あっ、だめだ、これは甘やかされてしまう……


「将君、今年もよく頑張ったね……♡」

「ふぁぁ……」

「嬉しいことも、辛いことも、いっぱいあったけどよく頑張ったね♡」

「り、りこねぇ……」


 ぎゅっとされながら頭をなでなでされるだけで心が赤ちゃんに戻っていく。

 理子姉に優しくされたい、理子姉に全部お世話されたい――


「うわぁ……将君、すっごく幸せそうな顔してる……♡」

「流石は自他共に認めるブラコン歌手ですね……」

「甘やかし方がベテランです……」


 他の三人に情けない姿を見られながらも、理子姉に甘えるのが止められない。

 とりあえずこのボードゲームは一周できたわけだが、二週目に入るのは、俺が理子姉の甘やかし天国から解放されるまで少しの時間を待つことになるのであった……やだ、解放されたくない……

今年も、白金家を読んでくださって、本当にありがとうございました。

来年もお姉ちゃんたちにたくさん甘やかされるだろうから期待しててね!

それではよいお年を……!

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