年末の姉2018 1(美香姉 愛理姉 百合姉 千秋さん)
今年は二部構成です。
次の更新は21時辺りです。
特にすることもなく、こたつで姉さんたちとごろごろする年末の夜。むわんと暖かい室内で俺は愛理姉とぴったり寄り添ってお互いを抱き枕にしていた。
セーターを着ている愛理姉はとってもやわらかい。もちもちしている。
「えへへー、将君の身体がっちりしてるー」
「愛理姉の身体、柔らかくて抱き心地最高……」
「もーっ、さっきからずっと抱き枕にされちゃってるしっ」
胸元に当たるおっぱいの感触も楽しみながら二人でのんびりしていると、近くで横になっていた千秋さんが這って俺の後ろへもぐりこんでくる。そして、そのまま俺は愛理姉と千秋さんの二人にサンドされてしまった。
「はぁ……やっぱりこうしてる時が一番落ち着くなぁ」
「え、あ、千秋さん……!?」
「むぅ、私だけぎゅっとしてたのにー」
「まあまあいいじゃないか。みんな平等が一番だよ」
目を閉じて心地よさそうにしている愛理姉を抱きながら、後ろから千秋さんに優しく包み込まれる。頭を撫でられているせいかこそばゆい。
胸元と背中に当たるおっぱい……二人とも、大きいからなぁ……
「あら、随分とくっついてるわね」
「百合姉」
「最初は私と将君がぎゅっとしてたのっ」
「こうやってのんびりしていると、嫌なこと全部忘れられるんだよ」
トイレから戻ってきた百合姉が横方向からこたつに入ってくる。相変わらず百合姉のおっぱいも服越しに浮かび上がって眼福だった。
視線で追いかけていると彼女に気付かれてしまったようだ。百合姉は意地悪そうな眼付になってくすくすと笑う。
「あら。将ったら、まだおっぱいが足りないの?」
「いや、そんなっ」
「将君のエッチ……」
「これだけ押し付けてるのにまだ足りないのか? あぁ?」
胸元の愛理姉が冷めたような目で見上げてくると同時に背中に当たるおっぱいの密度が増した。千秋さんに首元へ息を吹きかけられてしまって身体がぞわっとする。
「ひゃあ」
「女の子みたいな声あげるなって。な?」
「ふぁぁ……将君とぎゅっとしてたら、眠くなってきちゃった……」
「時間になったら起こすから、寝てても大丈夫よ?」
「うん、おねんねするね……」
俺のことを抱き枕にしていた愛理姉がそのまますやすやと眠り始めてしまった。料理とか掃除で慌ただしかったからその疲れが溜まっていたのだろう。目を閉じて休殻に眠っているその姿はずっと見ていられるほどに愛らしい。
「んんっ……♡」
「将、愛理のことばかり見てると千秋が嫉妬するわよ?」
「そんなつもりじゃ」
「なんだぁ、これでもまだ寂しいんだぞ?」
愛理姉の腕の力が弱くなったのでそっと身体の向きを変えて千秋さんと向かい合う。するとすぐ目の前で彼女の服越しおっぱいを見せつけられた。
服が乳袋のようにめくれているせいで、たゆん、たゆんと揺れる様子が……
「おっぱいでっか……」
「ほほう、やっと正直になったな」
「え、ああっ、心の声が」
「まったく、将、おっぱいのことしか考えられていないじゃない……ふふっ」
ふにふに、ふにふに。
頭がよわよわになっているところにおっぱい攻撃を食らってしまう。
顔をむっちり包み込まれてしまった俺は何も抵抗ができず、千秋さんにむにゅむにゅと好き放題に意地悪され続けていた。それを百合姉が助けてくれることはなく、机の横から面白そうに見つめているだけである。
「うわぁ、うわぁー」
「ほれほれ、どうだ、いいだろ?」
「変に強がってないで、早く素直になったらいいのに……♪」
このままだとまずい、そう思った時だった。
宅配便がやってきた。大晦日の夕方にご苦労なことである。
誰かが動く前に、廊下の方からどたどたと急ぎ足で動く音が聞こえてきた。
そうして宅配の人がいなくなった後、部屋に美香姉が何かの箱を手にやってきた。
「……将?」
「あ」
「お、美香じゃないか。いつもこいつが世話になってるな」
おっぱいに顔をうずめてにへらぁー、としている俺を見た美香姉は明らかに不機嫌な表情を浮かべるが、すぐさまこたつの向かい側に座って箱を開封し始める。ほどなくして、箱の中から一本のゲームソフトを取り出した。
某ゲームソフトメーカーのキャラクターが総出演する横アクションゲームだ。最近出たものだが、美香姉が買っていたらしい。
「将」
「はいっ」
「やろ?」
「は、はいっ」
ぴきぴき、と笑顔の端を引きつらせている美香姉。逆らうわけにもいかず、俺はおっぱいから剥がされて姉さんの対戦相手にされてしまった。
「ちょっと待ってて」
「お、おう」
「あら、嫉妬させちゃダメじゃない、将」
「誰のせいだと思ってるんだよぉ……」
「ほらほら拗ねるなって。ちゃんと見ててやれよ」
美香姉がプレイしている様子を何度か見ているときに不穏な空気を感じ取る。
あれ……美香姉、めちゃくちゃ上手くないか……?
「美香姉、ちょっと、動き容赦ないよ」
「普通」
「ははっ、これは楽しみだなぁ!」
「そうね、千秋、ちょっとビール持ってくるわ」
「お、サンキュ」
百合姉が部屋を出て行って、しばらくして戻ってくる。その間にも美香姉は軽々とコンピューターを撃破し、オレンジ色のイカを模したキャラクターを解禁させた。
「やるよ、将」
「お、おう」
ほどなくして映し出されたのは使用キャラクターを選ぶ画面。
なんせこういうゲームをするのは初めてだ。とりあえず、一番オーソドックスであろう赤い帽子のキャラクターを選ぶ。美香姉は先程解禁したものを選んだ。
(容赦しないから)
(う……ごめんって)
「いけーっ、将をやっちまえーっ!」
「うふふ、いい酒の肴になるじゃない」
情け容赦ない野次馬二人に見守られながら、美香姉とのゲーム対決が始まった。
しかし、対決とは名ばかり。実際は――
「げえーっ」
「ボコボコにされてるじゃない、頑張りなさいよ……っ」
「うはぁっ、酒がうまいなぁ、全く!」
事前にかなりの情報を頭に叩き込んでいたのだろうか、美香姉の操るキャラクターが繰り出す様々な技で俺のキャラクターがあっという間に沈められてしまう。
戦いの舞台へ復帰しようとしても、美香姉の慣れたモーションであっという間に崖下へ叩き落とされてゲームセット。ちらと隣を見ると、こちらを睨んでいる姉さんからはゴゴゴという漫画的な威圧感が……
(やっぱり、胸のある人が好きなんでしょ?)
(ごめんって、ごめんってぇ!)
「なんかすごく簡単そうだなぁ……私もやっていいか?」
「あら、千秋がやるなら私もやりたいわね。美香、程よい所で貸してくれるかしら?」
「うん」
「勿論、将も付けておくわね」
「え」
思う存分サンドバッグにされた俺は満身創痍の状態でリングを下りる。
そして、対戦カードが百合姉vs千秋さんに変わった後、美香姉の隣にやって来た俺はその腕を取られてしまうのであった。
(将)
(美香姉……)
(来年も、一緒にいてね)
二人が騒がしい中、美香姉が俺にそう訴えかけてくる。
先程までの鬼姉ではなかった。俺は、つい美香姉を抱きしめてしまい――
(勿論だよ。美香姉のこと、大好きだから)
(将……♡)
そのまま腕の中で幸せそうな表情を浮かべる美香姉。
そしてその横では、百合姉と千秋さんが白金組の顔つきでコントローラーを握っていた。あまりに慌ただしくてごちゃごちゃした大晦日だけど、これが白金家らしいと言えば、そうなんだろうなぁ……




