バレンタインデーの姉2018(終)(百合姉)
夜、美香姉、愛理姉、理子姉からもらったチョコを自室の机の上に並べていた。ラッピングはまだ剥がしていない。何だかそれが勿体ないような気がして、姉さんたちから貰ったチョコレートを見ては一人ニヤニヤしてしまう。
だがここにまだ一個来ていない物があるのが不穏だった。百合姉からの物である。流石に百合姉が忘れてるとは思えない(忘れてても文句は言えない)が、夜になるまで何の音沙汰も無かったことから彼女の策略は「これから」始まるのだろう。
(変に緊張してきたな……)
午後10時を回り、居ても立っても居られなくなって本棚からマンガを取り出して読み始める。異形のお姉ちゃんとの交流を描いた物語……それすらも全く頭に入らず、頭を掻きながら天井を仰ぐ。
百合姉に会いたい自分がいた。かと言って彼女の部屋まで行く度胸も無い。
自分から求めるのは間違ってると言い聞かせようとしても、それでも会いたいと言う気持ちを抑えることは難しかった。
(寝よう、とりあえず寝よう。無かったなら無かったで、あったら明日貰えばいい)
部屋の明かりを落として布団の中に入る。部屋がしんと静まり返った。
目を閉じるとつい百合姉の事を考えてしまう。長い髪をなびかせながら歩く凛々しい姿やしっかり面倒を見てくれるお姉ちゃんとしての姿、そして弟であるにもかかわらず自分を誘惑しようとする女としての姿。会いたい気持ちが強くなっていく。
(うう……百合姉……)
もやもやとした頭で百合姉の事を考え続ける。
そのまま時間が経ち、眠気がやってきたその時だった。
(ん……?)
部屋の戸が開く音が微かにした。
目が覚めるが、身体は動かさずに様子を窺っていると布団の端がめくられた。
(誰か来る……!)
部屋が暗くて誰が来たかは分からない。布団の下の方から誰かがゆっくりと入ってくる。そして、ついに自分の真横の方まで侵入を許してしまった。そこで初めて起きたように装って目を覚まそうとすると――
「寝たふりするなんていけない子ね」
すっかり看破されてしまった俺は後ろから百合姉に抱きしめられてしまう。
背中に当たるのは柔らかい百合姉の魔性の胸。首筋を濡らすのは自分を魅了してやまない悪魔の吐息。感覚の一つ一つが確実に百合姉に侵食され始める。
「ゆ、百合姉」
「ずっと待ってたんでしょ? 眠っちゃっていいの?」
首の後ろにキスされて身体中から力が抜け落ち、百合姉の抱き枕にされてしまった。
もうこうなってしまえば何も抵抗することは出来ない。彼女のされるがまま、思う存分おもちゃとして遊ばれ続けるしか道は無いんだ……
「将の弱い所全部知ってるんだから、逃げなきゃ大変なことになっちゃうわよ……」
そう言って百合姉はお腹の辺りに優しく手を置いてきた。
そこは駄目だった。百合姉にお腹を押さえられると妙に安心して呆けてしまう。
「百合姉ぇ……」
「すっかり腑抜けになっちゃったわね」
耳元で百合姉が囁く度に心臓の鼓動が速くなっていた。
脚も絡まり、百合姉とまるで一つになったように捕まってしまった。
「最後に気持ち良くしてあげるわ」
意味深なことを呟いた百合姉は後ろから胸板を優しく撫でてくる。それだけなのに身体中に快感が走って頭が気持ち良くてダメになって行ってしまう。
「あぁ、ああぁぁ……」
「将……好きよ」
そう言って百合姉が首筋を舐めた瞬間、頭が真っ白になってしまった。
ただ身体を撫でられて舐められただけなのに、思わず声を上げてしまう程に気持ち良くなってしまってその場でびくびくと震えてしまう。
「ふぁぁぁ……!」
「ふふっ、またして欲しかったら言いなさい。これは私にしか出来ない事だから……」
そう言って百合姉が布団から出て行く。慌てて身体を起こして電気をつけると、ドアを開けようとしていた百合姉が振り返ってこちらを見ていた。
上半身は黒のロングTシャツ。下は黒タイツに少しきつめの短いスカートだ。
百合姉はドアに手を付けた後にスカートをたくし上げてこちらにお尻を向け、脚を閉じたまま尻を強調する姿勢でタイツ越しに少し柄の入った黒い下着を見せつけてきた。
「将はこういうの、好きだったわよね」
そして、百合姉がその長い両脚を膝の所でくぱぁと折ってがに股に開いてしまう。
両手とつま先で身体を支えながらOの字を作るその様子に見入ってしまった。
「あぁぁぁ」
あの百合姉がこんな下品な姿をするなんて。
気が付いたらもうパンツの中へぐしょぐしょに漏らしてしまっていた。
バネのような両膝の上で揺れる百合姉の尻と開かれた股に何も抵抗できなかった。
「……ふふっ、ちゃんと掃除はしなさい、将」
そう言った後に百合姉は自分の「タイツの股間」から包装されたチョコレートらしきものを棚に置き、部屋から去って行ってしまった。未だにむわんと汗のにおいがしてくるようなそれを前に、布団の中で一人漏らしてしまった俺は今回も百合姉に敗北してしまったのであったことを悟ったのだった……
 




