年末の姉2015 6(終)
千秋さんと百合姉の姿がいつからか見えないなと思っていたら玄関から二人の声がした。どうやら二人は歩いて追加の酒を買ってきたようである。丁度その時に愛理姉のかけていた目覚ましが鳴り、飛び起きた愛理姉は時計を止めて台所へ走っていく。年越しそばを作らなければならないのだ。
「なーんだ、まだお前起きてたのかよ」
「年を越すまで眠れませんよ」
「こらこら千秋。将をいじめちゃ駄目よ?」
百合姉は俺の方の上に手を乗せると、居間のいつもの場所に座った後に後ろからふんわりと抱いてくる。百合姉の酒臭い吐息と脳を破壊するような身体のいい匂いで頭が混乱してしまった。千秋さんも隣にやってくる。
「将は最初からこうして欲しかったのよね……?」
そう言って百合姉は俺に膝枕した。視線のすぐそこに百合姉のたわわな胸が下がっている。位置的に直視せざるを得ない状況だが、千秋さんは俺の上にまたがると、意地の悪そうな顔を浮かべて顔を近づけてきた。
「将は胸が好きだったもんなぁ……ほれほれ」
千秋さんが胸元に胸を押し付けてくる。今回は部屋に漂っている酒の匂いのせいか意識がまずいことになっている。このままだと頭の中で歯止めが利かなくなってしまう恐れがあった。そんなこともいざ知らず、いやもしかしたら知っててやってるのかもしれないけど、百合姉は俺の肩を撫で、千秋さんは俺の首筋を舐め上げる。
「もっと楽しいこと、しない?」
「た、楽しいことって……」
「楽しいことよ」
押し切られてしまった俺は百合姉に押し倒される。千秋さんは外れ、横から興味深そうに見守っていた。百合姉は俺の身体の上半身を「脚」で固定すると、そのままぎゅっと抱き着いてきた。俗に言う「だいしゅきホールド」とかいう物なのだろうが……実際にされてみると、その、例のあの部分が当たってしまう。
「服がなかったらもう『してた』のよ?」
「言わないで、言わないで百合姉」
「どうしてかしら……?」
百合姉は腰を揺らしてその部分をこすり上げてくる。ぐ、ぐお、ちょ、それは。
「将も知らないわけないだろ?」
「いや、だけど、これ……!」
百合姉の胸が少しだけ揺れている。それを意識した瞬間、本当に百合姉と「している」ような錯覚に陥ってしまい――
「あっ」
そうなるともう歯止めが利くはずがなかった。百合姉が口の端を上げた瞬間、何という事だろうか、やってしまった。その匂いにあの千秋さんが気が付かないはずもなく。
「……こいつ、出したぞ」
「あら」
「それ」に興味ありそうな百合姉と、「それ」が出す臭いに興味ありそうな千秋さんが反応してしまった。百合姉は一旦離れると、丁度その部分に顔を近づけて匂いを嗅ぐ。千秋さんは離れていてもわかるらしい。
「気になるわね……将、ちょっと脱ぎなさい」
「い、いや、向こうで脱いで持ってくるからああああ!」
男としての尊厳を木端微塵に破壊された俺は一目散に逃げだしてしまった。でも、あそこまでされても二人の事は嫌いじゃなかったり……むしろ、あ、いや、何でもない。
次は元日0時です。




