年末の姉2015 2
理子姉は部屋の掃除に勤しんでいた。テレビ台の上や倉庫の奥、廊下の隅から隅までをモップで綺麗にしているところで会う形になった。
「将君、愛理の方はどう?」
「元日にまでは出来そうだよ。掃除の方は?」
「あと少しだから大丈夫大丈夫」
理子姉は俺のところに駆け寄るとその場でぎゅっと抱いてきた。彼女の暖かい感触に自然と寄りかかってしまう。何も言わずとも彼女は頭を撫でてくれた。
「夜になったらいっぱいかわいがってあげるからね?」
「はい」
理子姉にまた頭を撫でられた。別れ際にはキスもしてもらった。そのまま彼女と一緒にいたい気持ちもあったが邪魔をしてはいけないと思って立ち去らざるを得ない。少し寂しさを感じて廊下を歩いていると百合姉とすれ違った。
「少し手伝ってくれない?」
「何をだ?」
「段ボールを作ってくれないかしら」
百合姉の部屋に案内される。部屋の中にはたたんである段ボールが四、五枚あった。近くにガムテープも置いてある。これで箱を作ったらよいのだろう。
「雑誌を結ばなきゃいけないから、お願い出来ない?」
「いいぞ。暇だったし」
「ありがと」
百合姉に耳元でお礼を言われて震えてしまう。その後は彼女に言われた通り、段ボールで箱を作ってガムテープで補強する作業をやっていた。百合姉は部屋の片隅に無造作に積んであった雑誌をひもでまとめる作業をしている。
度々、百合姉の身体の匂いがこちらにまで伝わって来た。今日は匂いを付けていないのか、いつもよりも彼女の身体自体の匂いが強く感じられる。そうなると集中は出来なくなり、考えているのは百合姉にどうにかして抱きつきたい、かわいがってもらいたい、というくだらない事であって。
「手、止まってるわよ」
「あ、ご、ごめんなさい」
「慌てないの」
百合姉は心の奥を見透かすような目になって言う。
「……いらっしゃい?」
彼女はニヤリと笑うと両手を広げてこちらに向かった。今ここで百合姉の胸に飛び込んでいくことはきっと彼女の策に嵌ることになるのだが――そんなことは今はどうでも良くて。抱きつきたい、という欲求が結局は勝ってしまった。我ながら情けない。
「こらこら。本当に甘えん坊さんね」
作業などどうでもよくなり、百合姉の胸に顔をうずめた。百合姉は頭の後ろ辺りを優しく抑えると、そのまま彼女の胸に顔を押し付けてくる。感触の良いモノがふにふにと顔に心地よい。百合姉の腰つきもなかなかのもので、つい手でラインをなぞってしまっている自分がいる。
そんなこんなをしていると部屋のドアが開いた。モップを持った理子姉が立っている。
「百合姉、百合姉の部屋の掃除は……あーっ!」
理子姉が頬を膨らませて百合姉に抗議する。げ、理子姉に見つかってしまった。
「将君は今日は私がふにふにするの!」
「仕方ないわね。ほら、将。理子の所に行ってあげなさい」
渋々百合姉の所から離れて理子姉の方に向かう。理子姉は先程よりもさらに強い力で抱きしめてきた。百合姉と比べて胸の感触は若干減ったが、身体全体に伝わってくる暖かさは理子姉の方が段違いである。そんなことを感じている間に外は徐々に夕方へと近づいて行った。
次は7時です




