年末の姉2015 1
大晦日。ショッピングモールに姉さんたちと買い物に出ていた。年越しに向けていろいろ物を買っておきたいのだと言う。時期が時期なためかやはり人は多く、俺たちのような家族で来ている人で溢れ返っていた。理子姉もばれないようにと神経を使っている様子で。
「今日の夜は何食べる?」
「一応オードブルは予約してあるよ。他に好きな物があったら買っていいからね」
理子姉の大盤振る舞いに感謝しながらも皆がそれぞれ好きな物をカゴに入れていく。皆それぞれ入れる物が違うので見ていて面白い。美香姉の入れた物は中にチョコの入った饅頭であった。テレビを見ながらだらだらと食べるのだと言う。
「お姉ちゃん、これ買っていい?」
「いいよー」
愛理姉がカゴに入れた物はおせち料理の作り方の本だった。時間的に黒豆は作る余裕がないせいか黒豆もカゴに入った。どうやら今回は自作するらしく、他にもさまざまな材料をひょいひょいと入れていく。その頃理子姉は飲み物を何本か入れた。
「百合姉はどれくらい飲む?」
「年明けは千秋たちとの集まりがあるからね……ビール二箱は用意した方が良いかしら」
そうだ。年明けには千秋さんたちが家にやってくる。正月くらい向こうも家族の所に行かないのか、と考えたが、よくよく考えてみると俺は千秋さんたちの家族構成を知らない。なぎささんは以前秋田の家に親戚がいるとか言ってたけれど、年明けは家に来る。
ふと、年末に千秋さんたちは家に来るのだろうかと思って、百合姉に尋ねる。
「年越しはうちらだけか?」
「将は千秋たちにも来てほしい?」
「う」
百合姉にからかうように言われてしまって肩をすぼめる。
「来てほしいです」
「そうね……試しに誘ってみようかしら」
「将君はもう少し女の子の気持ちを考えないとダメだよ」
理子姉に諭すように言われてしまった。少し落ち込んでいる俺の様子を見て、彼女は慌てたように頭を撫でてくれた。周りには人がいるため少し照れくさい。
「お姉ちゃんはもう少し周り見てよー」
愛理姉がふてくされたようにつぶやき、理子姉がはっとして我に返った。その隣で百合姉がくすくすと笑っている。美香姉はそんなことに知らん顔でカゴの中に饅頭を追加する。




