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クリスマスの姉2015 1

「ジングルベール、ジングルベール」

 理子姉がそんな歌を歌いながら家の中を回っていた。俺は美香姉を抱きながら、居間で飛び跳ねる彼女の様子を見守っている。百合姉はカフェの勤務から帰って来たばかりで疲れているのか、机の上に顔を突っ伏して動かない。愛理姉は台所で忙しく料理を作っているため居間にはいなかった。

「理子姉、落ち着いたらどうだ」

「きょうはー、たのしー、クーリスマス、へい!」

 鼻歌交じりで理子姉は廊下に出て行った。少し静かになった部屋で百合姉が唸る。

「理子はどうしてあんなに元気なのかしら」

「さあな」

「……パーティー」

 美香姉がふと呟く。その時、玄関からピンポンと音が鳴った。理子姉の物らしき足音が廊下を慌ただしく抜けていき、少し経った後に理子姉の声が聞こえてきた。

「いらっしゃい!」

「落ち着けよ理子」

「早く上がって上がって」

 理子姉の後に続いて入って来たのは千秋さんだ。千秋さんは伏せている百合姉の隣に座ると肩を叩き始めた。しばらくして愛理姉がお盆を持ってやってくる。お盆の上には今日飲むであろうシャンパンとジンジャーエール、カルピスが乗っていた。

「今日はクリスマスだからみんなとパーティーするって言ってなかったっけ?」

「そう言えばそんなこと言ってたわね……」

「もうすぐなぎさちゃんと希さんも来るよ」

 百合姉は千秋さんにもたれかかりながらはいはいと返事をする。千秋さんは少し考えた後、携帯電話を取り出して何やらいじる。

「大分お疲れの様だな」

「そうね」

「準備が出来たら呼ぶからしばらく寝てたらどうだい?」

 百合姉は千秋さんにもたれかかりながらつぶやく。

「分かったわ。手伝えなくてごめんね」

 百合姉はそう言うとフラフラと立ち上がって自分の部屋に帰っていく。愛理姉は先程百合姉が座っていた場所にちょこんと座ると、隣の千秋さんに頭を撫でられながらなにやら耳打ちをされる。こくんとうなづいた愛理姉を千秋さんはまた撫でた。愛理姉の顔がほんのりと赤くなる。

「理子は出来るだけの準備を頼めるか? 私は愛理とやりたいことがある」

「わかったよ。それじゃ、将君と美香ちゃんにも手伝ってもらおうかな」

 理子姉が俺と美香姉を促す。動きたくなさそうな美香姉を無理矢理立たせると彼女はうにゃーと変な声を上げた。理子姉がそれを聞いて仕方なさそうな微笑みを浮かべる。千秋さんは何やら考え付いたらしく、悪い顔つきになって口の端で笑っていた。


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