王様ゲームのこっくりさん 6(終)
「起きてよ、将君」
理子姉の声がして目が覚めた。家で眠っていたのだった。今までの千秋さんとのことは夢だったのか、そんなことを考えていると、理子姉が心配そうな顔で覗いてくる。
「大丈夫?」
「あ、ああ。理子姉はこんなところで何を?」
彼女は俺の近くに落ちていた心霊関係の雑誌を手に取ると、こんなものは読んじゃいけません、という目になって言う。
「将君がこれの何かをやって倒れてたんだよ? 命の危険はなかったら良かったけれど」
「あ、それじゃ、さっきのは……夢?」
思い返す。理子姉と百合姉が絡んでいたこと、希さんと愛理姉が絡んでいたことなど。いやそもそもの発端はみんなでこっくりさんをしたことだった。それだ。
「り、理子姉、こっくりさんってしたことある?」
「ないよ! そんなことしちゃだめ!」
ぺしっ、と丸まった雑誌で叩かれてしまった。うう、今までのは夢だったのか。いや、逆に夢で良かったかもしれない。あんなことが日常になっていたらもう理性が持たない。
「……ところで、どんな夢を見てたの?」
「えーっと」
少し考えた後に言う。
「理子姉が百合姉に『お姉ちゃん』って言って甘えていた夢かな」
「このバカ!」
顔を真っ赤にした理子姉は雑誌の角で叩いてくる。そこに百合姉が入って来た。
「何か私の話をしていたような気がしたけれど……」
「き、気のせいだよお姉ちゃん!」
理子姉がはっと気づく。百合姉は少し呆気にとられていたようだが、ふぅんとうなずく。
「どうしたの? 理子。私の事をそう呼んでくれるなんて、とても可愛い妹なんだから」
ぎゅううと理子姉に抱き着いた百合姉は、そのまま照れて蒸発しそうになっている理子姉に囁き続ける。うお、離れたところで起き上がった俺から見ても赤くなるのが分かる。
「じゃあ、しましょう?」
「な、何をするの……?」
「決まってるじゃない。二人の仲を深め合うのよ」
そう言って二人は去ってしまった。あながち夢ではなかったのかな、と頭を掻きながら思っていると、部屋を出て行ったはずの百合姉がちらと顔を出しながら言う。
「楽しかったわよ、将」
「えっ」
どこからどこまでが夢なのかよく分からないまま、真夏の昼の夢は終わったのであった。
短い代わりに最高密度を詰め込みました。
そろそろ消されないか心配です(´・ω・`)
ふつーにイイハナシダナー的なのを書きたい今日この頃




