王様ゲームのこっくりさん 3
しばらくして、美香姉が元に戻った。霊力が消えたおかげかくっついていた状態から解放され、ほっと一息を付いていると、突然頭がぼうっとしてしまう。他の人もそうなったらしく、仕方なく今日はみんなで家に泊まることになった。
部屋に戻る気力も残っていなかったため、押し入れの中の布団を強引に引っ張り出し、適当にしいた後皆でそこに横になった。左隣の方で百合姉と理子姉が何かもぞもぞとしている。気になったので、少しだけ二人の様子を見ることにした。
「……百合姉」
「なあに?」
少しの沈黙の後、理子姉がもぞっと動いた。百合姉の方に若干近寄っている。
「さっきから、百合姉の事が、大好きすぎて……」
「理子らしくないわね。どうしたの?」
「……お姉ちゃんの身体の感覚が、まだ残ってるの」
百合姉は理子姉をぎゅっと抱いたのか、もぞっと動く。そうして息をそっと吐いた。理子姉は百合姉の胸元に潜り込んだのか、しばらくして動きを止める。
「……理子に『お姉ちゃん』って呼ばれたの、久しぶりね」
「そ、そう?」
「昔より綺麗になって、そしてこの通り胸も大きくなった……ねえ?」
理子姉は戸惑っているようだ。百合姉は甘い声でささやきながら、彼女の身体を布団の中でまさぐり始めた。一体布団の中で何が起こっているのか分からないが、理子姉がびくっと震えている様子を見ると、やはりそういうことなのか。
「お姉ちゃん……ああっ」
「可愛い、理子。……ねぇ、せっかくだから、私にも、ね?」
「うん……」
理子姉も同じようにもさもさと動かす。少し経って、百合姉も官能的な息を吐いた。布団の中からこっそりと覗いているこちらには気が付いていない様である。二人はさらに顔を近づけると、さっきと同じように濃厚なキスをした。
「んんっ、大好きよ、理子……」
「私も、お姉ちゃんの、ことが……」
二人の情事をのぞき見していると、何だか後ろの方からも声が聞こえてきた。愛理姉と希さんの会話らしい。百合姉と理子姉のコトも気にはなるが、あえてここは後ろを向くことにした。寝返りをうったふりをして愛理姉と希さんのお話を聞く。
「あ、あの、愛理さん……」
「希さん?」
「その、寂しいので、もっとくっついても……」
愛理姉はこくりとうなずいて、希さんをすっと引き寄せた。二人はくっつきながら、恥ずかしそうにお互い見つめ合った。
「愛理さん、意外と、大きいんですね……」
「あ、うーん、そうかな?」
「年下なのに」
希さんが何かもぞもぞと動き出す。しばらく経って、愛理姉の驚いたような声が聞こえてきた。百合姉と理子姉の方からごそっと音が聞こえたが、何もないことが分かると、希さんは小声で話しかける。
「そ、その、愛理さんは『エム』ですか?」
「な、なんで今……そうだけど」
「わたしも、その……されるのが、好きで」
「ええっ!?」
愛理姉の驚くような声が聞こえる。そして、がくがくとその場で震え始めた。
「なんだか、よくわかんないんですけど、愛理さんの事が大好きすぎて……」
「うぇうぇ!?」
「駄目なのに……あぁ、ごめんなさい、でももう我慢できないんです!」
希さんが愛理姉に襲い掛かる音が聞こえたような気がした。布団の中からわーっと愛理姉の声が聞こえて来たが、次第にそれは力が抜けたような嘆声に変わっていく。布団の山が激しく揺れ始め、何だか見てはいけない物を見てしまうような気持ちになってしまった。
「愛理さぁん……」
「んんっ、あっ、希、さんっ……あぁっ!」
「百合姉……んんっ、あぁ、ぅん……」
「もっと可愛い理子を見せてね……?」
かたやイチャイチャし始めた愛理姉と希さん。もう片方からは絡まっている理子姉と百合姉。何だかいたたまれないような気持ちになって布団の中に潜っていた。絶対に聞こえてるとは思うんだけど、それでも二組は独立した世界を作っているらしい。
部屋の端から千秋さんのうめき声も聞こえてくる。眠れないのもうなずけるぜ。
「ああ……将……」
前言撤回。何か言ってる。でもよく聞こえない。そんなこんなで目を瞑っていると、とうとう眠りにつくことが出来たようで、意識が遠ざかっていく。うん、助かった。多分。




