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テスト勉強の姉 1

コレも4日置き更新になる予定です

ただし、(1)は夜中に更新させていただきました。

たまにはこんな時間にPON☆とやるのも悪くない

 ある日の夜、美香姉、愛理姉と三人で居間で勉強をしていた。テストが近くなってきたという事なので、それに備えてたまには真面目にやろう、ということらしい。成績優秀の美香姉にいろいろなところを教えてもらいながら、俺と愛理姉は課題も進めていた。

 夜の10時。晩御飯が終わってから数時間くらいしかたっていないが、必死に勉強をすると5時間くらいやったような気分になる。そのせいかお腹も空いてしまっていた。美香姉はなんだか疲れたのか、その場でごろんと横になって眠ってしまっている。

「カップ麺があった気がするんだけどなー」

 愛理姉が買い物バッグの中を覗きながら言う。適当な物でいいよ、と頼むと、少し経って、お湯が入ったカップ麺二人分とタイマーを持って彼女は戻ってきた。愛理姉もなんだか疲れているのか、顔にはいつもの活発さはない。

「つかれたよー、将君」

「おわっ!?」

 愛理姉はカップ麺をテーブルの上に置くと、とてもだるそうなその体をこちらへ倒してきた。そしてそのまま抱き合うような姿勢になり、戸惑いを感じている隙に彼女にぎっしりとホールドされてしまった。少し動いても全く離れる気配がない。

「愛理姉、まだ少しだけ問題が残ってい」

「そんなのどーでもいいの!」

 ぎゅうう、と彼女が抱きしめると、胸元に彼女の大きな胸がもにゅっと押し付けられる。その感触にまだどうも慣れてないのか、恥ずかしさと嬉しさが入り混じったよく分からない気持ちになってしまう。それをどうも愛理姉は知っているようで。

「将君またえっちなこと考えてる」

「ま、また? いや、そんなこと」

「いっつもいっつも私の胸の事ばっかり考えてるじゃん」

 愛理姉はふてくされたように胸を押し付けてきた。ふにゅふにゅ。ちらと美香姉の方に目をやったが、彼女は深い眠りについているようだ。安心していると、愛理姉は少し涙目になって今度はごろごろと転がり始める。もちろんこちらも巻き込まれる。

「たまには私の事も考えてよ……ね?」

 ゆっくりと顔を持ち上げながら彼女は言う。そして、そんな彼女に戸惑っている隙に、いつしかキスをされてしまっていた。甘い甘い味覚に溺れていると、キスが終わった後に、彼女が抱きつきながら耳元で「大好きだよ」とささやいてきた。


 カップ麺をずるずるとすすった後、気を取り直して勉強に戻る。はずだったのだが、先程の一件があったせいか、俺と愛理姉はなんだか勉強にうまく集中することが出来なかった。美香姉も起きて勉強を始めたが、起きたばかりのせいかあまり進んでいない。

「ねむい……」

「ううっ……」

 美香姉と愛理姉が何やらこぼしながらも頑張っているが、一向に問題が進む気配はない。美香姉の場合はもともと解き進んでいたため問題ないだろうが、愛理姉は大量の課題を残したままであった。提出期限も近いのでそろそろどうにかしないといけないのだけれど。

 俺も勉強を進め、少し経った頃、美香姉が急に腕にすり寄って来た。そのままくっついた美香姉は、両手で腕を抱きかかえると、それにもたれかかったまま眠りについてしまう。よほど眠かったのだろうか、少し揺り動かしても起きる気配が全くない。

「将……」

 愛理姉もうとうとし始めている。美香姉をその場で寝せてあげようとしたが、腕から全く離れる気配がなかったため、仕方なく俺も横になることになった。寝そべると、美香姉はぎゅう、っと腕を抱きしめながら、それから離れまいと、脚同士を絡ませてきた。決して美香姉の体重が重い訳ではないのだが、こうでもされると無理矢理離れるわけにもいかない。

「美香姉、もう寝るのか?」

「……むにゃ」

 ゆっさゆっさと動かすと、何やら不機嫌そうな顔をして美香姉が起きる。そして、ゆっくりと俺の肩を掴んだかと思えば、それをぐいっと引き寄せて、美香姉と唇を合わせることになってしまった。ほんのりと甘い味が口の中に広がり、しばらくそうしていたくなってしまう。

「だいすき」

 美香姉はぼそっと言って、俺の手を握ると、満足したのか眠りについた。何やら気配がしたので振り返ると、そこには目の下にクマを作りながらこちらを睨む愛理姉の姿が。

「むむむ」

「あ、愛理姉、見て、た?」

「見てたよー! ちゃんと最初から最後まで見てたよ将君!」

 愛理姉はもうどうにでもなれと俺に抱き着くと、そのまま倒して、今美香姉がしているのと同じように足を絡ませた。愛理姉も結構限界が近いのか、そうすると少し経って目を閉じてしまう。そして、美香姉と同じように夢の世界へと旅立っていった。

 動くわけにもいかないのでしばらくぼうっとしていると、廊下から足音が聞こえてきた。部屋のドアの方に視線を飛ばすと、夜食でも取りに来たのか、百合姉がそこに立っていた。

「三人とも寝るなら部屋で寝なさい?」

「い、いや、こうなると流石にどうもならない、というか……」

 百合姉はフーっとため息を吐いて言う。

「女二人を侍らせて言われても全く説得力がないわよ、それ」

 全くそうであった。


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