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赤ワインの姉 3(終)

 百合姉は上に乗りかかったまま、服のすそを少しだけめくった。彼女の腰がうかがえる。白くて、なめらかな肌をしていた。百合姉は手でそこに触れるように誘導する。触り心地は抜群であった。いつまでも触っていたくなるような、そんな百合姉の腰だ。

「そんなに触ってちゃ駄目。もっと、危ない気持ちになっちゃうから……」

「百合姉?」

「んん……あぁ、いいわよ、将」

 彼女の言葉の一つ一つが凶器の様であった。いつの間にか、腰を触っていたはずの手が、百合姉の背中へと動いていた。そんな様子の中、百合姉は首をちろりと舐める。心地よかった。首筋だけでなく、全身に快楽が走った。

「はあ……」

「将だけだとずるいわよ。過激なコト、しちゃってもいいから。もっと、良くして?」

「は、はい……」

 理性はどこかへと飛んで行ってしまっていた。百合姉の背中を上っていき、彼女の下着を支えている金具をそっと外す。途端に、百合姉が楽になったような息を吐いた。百合姉は目をじっと見つめてくる。逆らえない。百合姉のされるがまま、が、気持ちよい。

「外して」

 百合姉はそう囁いてきた。手を動かし、彼女の服の下にある下着をそっと上に上げる。ぽろんと、やわらかいモノが自由になるような音がした。百合姉の息が何とも言えない。

「……変態」

「あっ」

 彼女の言葉で、自分が何をしようとしていたかを理解してしまった。百合姉は不気味な笑顔を浮かべたまま、薄い服越しに、下着を付けてないやわらかいモノを押し付けた。

 服を挟んでいるにもかかわらず、それはもちもちとしていた。このまま、いつまでもこうされていたかった。百合姉は頭を撫でて、今度は頬にキスをする。何だか、物足りない。

「やぁん、もう準備出来てるじゃない」

「百合姉が悪いんだ」

「……人のせいにする弟には、きっちりお仕置きしないとね?」

 百合姉が「そこ」に触れようとした時。扉がカチャリと開く音がした。

「お姉ちゃん……?」

 愛理姉だった。愛理姉はこちらの情事を見ると、その場で頬を真っ赤にして硬直してしまう。彼女の太ももには何かが垂れていた。百合姉は愛理姉をちらりと見ると、途端に目つきを女王様のような物に変える。

「残念ね。お仕置きはお預け」

 そして、俺から離れていくと、入口の前で動けない愛理姉の所へ行く。そして、愛理姉のお尻のあたりに触れる。む。

「どうして我慢してなかったの?」

「だ、だって、お姉ちゃんの事考えてたら……」

「絶対に約束は守りなさい、と言ったはず。本当に愛理は駄目なのね」

「ふぇぇ……」

 百合姉は愛理姉を連れて、愛理姉の部屋へと向かっていったようだ。俺は一人残される。

「……うう」

 何だか悔しいような思いであった。いや、だが、これでいい。危なかった。


 夜遅く、何があったか気になったので、愛理姉の部屋を尋ねてみることにした。俺がドアをノックしたことに愛理姉は驚いたようで、しばらく経ってからドアが開く。部屋の中に入り、愛理姉のベッドに腰掛けながら尋ねた。

「何かあったの?」

「い、いや? お姉ちゃんとは何もないよ?」

「……何だか怪しい」

 途端にびくっと愛理姉は震えた。何か怪しいものがないか愛理姉の部屋を見渡していると、何も見ちゃ駄目、と言いたいのか、愛理姉が俺を強引に抱いてベッドに押し倒す。

「本当に何もないから!」

「ほ、本当に、何も?」

「そうだよ! お姉ちゃんには何もされてないから!」

 ベッドの上でころころとしながら、愛理姉は安心したようにため息をついた。愛理姉の身体に視線をジャックされてしまっていたが、何だかよく分からないような匂いがする。

「……におわない?」

「うえぇっ!?」

「臭いと言うか、何というか……」

 女の子の部屋は良い匂いがすると思っていたが、何だか違う匂いである。どちらかと言うと、トイレで嗅ぐようなそんな匂いだった。いや、でもここは愛理姉の部屋だし。

「き、聞かないで……何もなかったから。お願い」

「わ、わかったよ。何も聞かないから」

 愛理姉は何かに怯えるような表情をしながら、やっと俺を離してくれた。一言言って部屋を出ようとした時、ちらりと、黄金色の液体が入ったボトルが見えたような気がした。

 その時、愛理姉の顔がすっと青ざめたのは気のせいにしたい。本当に。


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