家族会議の姉 1
「どうしてこんなことになったの? 将君、ちゃんと言って?」
「いや、だから、俺がやってたんじゃなくて愛理姉が」
「愛理は女の子だよ? こういうエッチなゲームをするのは将君しかいないじゃん!」
百合姉の部屋にいた。パソコンの椅子に足を組んで座る百合姉の前で、俺と愛理姉は正座で座らされていた。百合姉のベッドには理子姉が座っていて、美香姉は何だかお昼寝に入ったようであった。
愛理姉が姉モノのエロゲーをやっていて、それをつけっぱなしで寝てしまったため、帰って来た三人にこうやって問い詰められているのである。
「それに、中身はちゃーんと姉との行為……白状しなさい、将」
「だから俺じゃないって!」
「愛理。あなた、見ていたでしょ? 二人で留守番していたんだから」
その言葉で愛理姉がびくっと震えた。がくがくと震え始めた彼女を見て、百合姉はしばらく怪訝な顔を浮かべていたが、少し経つと満足そうに笑う。
「あなたは昼ご飯を作ってなさい。そして、将にはもうちょっと聞かないとね?」
「ふぁ、ふぁい」
愛理姉は急いで立ち上がると、どたばたと忙しい足音を立てながら台所へ逃げて行った。まさにこの状況はまな板の上の鯉。家内最高権力者の百合姉と、おそらくこの家で一番しっかりしている理子姉からの尋問を一人で受けるのは、辛い。
そう思っていると、百合姉の携帯電話が鳴った。
「……希? ええ、分かったわ。今からそっちに行くから」
通話を切って、舌打ちをする百合姉。
「残念ね、将。もう少しあなたを虐められると思ってたのに」
「そ、それはっ」
「帰ったら聞くから、覚悟してなさい?」
そう言って部屋から去っていく百合姉。立ち上がろうとすると、理子姉に頭をぽんと叩かれてしまった。仕方なくその場に座り続ける。正座で。
「……将君って、お姉ちゃんとエッチしたいの?」
「は、はい?」
「だからっ、その……あのゲームみたいに、いろんなことが、したいのかなぁって」
来た。助かった。バカ姉のスイッチが入った。理子姉はすっかり顔を赤くしてしまっていた。今まではきっと、百合姉と愛理姉の前だからと真面目ぶっていたのだろう。
「そういうことは全く考えてませんです」
「ふーん……私の胸は触って来たくせに」
「そ、それは……その、理子姉が綺麗だったから……」
その言葉を聞いた理子姉はくすっと笑った。そして、少し考え込んだ後、意を決したように言う。
「それじゃ、お姉ちゃんが教えてあげる。そういうことをね」




