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雨降りの姉 3(終)

 晩御飯を食べ終わった後、美香姉が俺の袖を引っ張り、一緒に寝ないかと誘ってきた。特に断る理由もないので美香姉の部屋に向かうと、彼女は部屋の中に入ってすぐにドアを閉め、そのまま後ろから抱き着いてくる。ひょいと背負ってあげると、喜んでいるような声をあげた。

「ねむーい」

「そうかそうか」

 美香姉がぼやいたので、そのままベッドに寝せてあげる。彼女が手招きをしたので、それに答えるようにこちらも隣で横になった。枕元にあったリモコンを操作すると、部屋の電気がやや暗くなった。美香姉は俺の肩腕をつかむと、それを大事そうに抱え、そのまま動かなくなる。こちらもつい意地悪の心が芽生え、美香姉の頭を撫でた。

 少し経って、美香姉が突然胸元に寄り添ってきた。すぐ隣でこちらを見つめて来るその瞳は澄んでいて、彼女に何でもさせて挙げたくなるような魅力を持っている。美香姉は寄り添ってきた後、ぎゅっと抱き着いてきた。布団の中であったので少し暑くもあったが、嫌になるような暑さではなかった。逆に、このままずっと抱いていたくなるくらいだ。

「……だーいすき」

「……ありがとな」

 美香姉は実姉ということもあり、愛理姉たちとは違って身体で誘惑は一切してこない。彼女なりの線引きなのであろう。だが、それでも彼女たちに奪われたくない、と言わんばかりにこうやって近づいてくる。それが、何とも言えないくらいに微笑ましいのだ。

 願わくば、彼女とは離れたくない。美香姉もそう思っているのか、ぎゅっと背中に回している腕を緩めることはない。小さくとも、この家の中では常時一番のしっかり者だ。

「ずっと、一緒」

 美香姉はそう言うと、目を瞑ったまま動かなくなった。そんな彼女を見ているうち、こちらも眠くなってきた。ずっと、一緒。それを願いながら、夢の世界に堕ちる。

 美香姉と同じ夢を見られたら、いいな。


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