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ハイテンションな姉 後編 4(終)

家に帰ってすぐ、俺は百合姉の部屋に連行された。

「将君。私、ずっと待ってたのよ」

百合姉はそう言うと、俺をベッドに無理やり押し倒した。

「ちょっ」

「いいの」

前回よりも、スピードは半端なかった。

俺は抵抗する暇もなく押し倒され、その上に百合姉が乗っかる。

完全に身動きが取れない。男でも、力を入れて押しのける事は不可能だ。

……そこのお前。うらやましいと思うな。

「ゆ、百合姉、やめてくれ、頼むからやめてくれ」

「もう我慢できないの……」

慌てて百合姉に懇願するが、百合姉は俺の腹に乗ったままだ。

もし誰かがこれを見たら、もはや恋人同士にしか見えまい。

そして頼むから百合姉。俺と変なことをしようとするな!

「顔真っ赤にしてる将君、可愛いわね」

「なっ」

脳内が真っ白になり、状況を打破する策が全く思い浮かばない。

わかってるのに。こうなったらだめだとわかってるのに。

「フフ」

百合姉はそんな俺の肩を押さえつけてきた。

身動きが、一ミリたりとも取る事が出来ない。これでは、百合姉に食われる。

「やめろ!」

「だーめ」

百合姉は俺の言葉を完全否定し、俺と顔を近づける。

頼むから、本当に勘弁してくれ! 百合姉は絶対に俺と変なことをしようとしてる。

「今日は将君を食べる日なのよ?」

百合姉の周囲から、どぎついピンク色のオーラが発せられている。

頬から出る香水の匂いが、余計に俺の思考を狂わせた。

……もうだめだ。

その時だった。

百合姉の部屋の扉が一気に開かれ、廊下の光が差し込んでくる。

「お姉ちゃん。将君は渡さないよ」

愛理姉だった。

「愛理は温泉でいっぱーい将君と遊んだでしょ?」

「お姉ちゃんは将君と変な事しようとしてるじゃん!」

さすが愛理姉。正解。

「変な事じゃないわ。スキンシップって物よ」

「だめ! 将君は弟だから!」

弟。決定的な理由を百合姉に突きつけてきた。

「……」

「……あ」

重苦しい雰囲気が流れた。

思考する事を再開した俺は、微妙な気持ちになっていた。

百合姉たちは、俺の姉。

家族なのだ。

「……将。一人にさせて」

百合姉は俺から降りて言った。

俺は百合姉の部屋から出て、ドアを閉める。

ドアを閉める時、部屋の中で泣いている百合姉がちらっと見えた。

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