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友達込みの避暑地探訪 9(終)

 なぎささんは秋田で何か用事を済ませたらしい。夏休みも終わるため、家に帰ることになった。事前に姉さんとなぎささんの間にあった約束通り、俺は今度は姉さんたちの車に乗って帰ることになる。

 家族、ということかもしれないが、理子姉の車は落ち着く場所だ。後部座席に美香姉、愛理姉と一緒に座っていて、俺の両腕に二人はくっついている。美香姉はすやすやと眠っている。愛理姉は腕どころか俺の体も抱いていた。

「やっぱり将君は私たちと一緒じゃないとね」

「……だな」

 秋田へのちょっとした旅も終わり、少々さびしい気持ちもあるが、愛理姉の笑顔を見ると全てが吹っ切れそうな気がする。あまりいろんな場所に行った気はしなかったが、千秋さんたちのことについて新しい発見がたくさんあった。

 百合姉は外を見ながら、ぼそっとつぶやく。

「……聞いてなかったけど、あの子は何をしに秋田に行ったの? 理子」

「さあ?」

 理子姉は運転しながら、気の抜けたような声で答えた。どうやら彼女も知らないことらしい。おそらく、あの子とはなぎささんのことであろう。

「そういえば、夏、終わるわね」

「だな」

「海行ってないねー」

 愛理姉が寂しそうにつぶやく。そう言えば今年は行ってない。悲しそうな顔をしてうつむいた愛理姉を慰めるように俺は言う。

「今年はお預けだな」

「ぶー」

「室内プールでもいいじゃん」

「……そーだね」

 どうも逆効果だったらしい。愛理姉は俺の身体に顔を押し付け、ぐすぐすと泣いてしまった。理子姉はバックミラー越しに慈悲のある笑顔を浮かべる。百合姉は外を見ながら、ゆっくりと息を吐いた。


「罪な男だなぁ、将。それだからお前はどっちつかずだって言われるんだよ」

「お前なぁ」

 夏休み最終日。健一と二人で、百合姉のカフェで時間を潰していた。俺は夏休みの課題を全て終わらせている。健一がどうかは知らん。

「第一そこまでいったんだろ? いっそのこと線を超えちまえばどうだい」

「そんなことしたら大変なことになるの分かってるだろ」

「分かってるからこそ言っているんだ。第一お前の家は普通じゃない」

 健一はコーラの入っていたコップを空にすると、希さんを読んでおかわりを要求する。ついでに俺はサンドイッチを注文した。

「それよりもお前は彼女いるのかよ、健一」

「俺? いるぞ。凄く凄く可愛い彼女がいるぞ」

「ハッタリだったら潰す、と言えば?」

 脅しをかける質問だったが、健一はこほんと咳をした後に携帯をいじる。そして、少し経った後、俺に一枚の写真を見せた。お。

「ほれ見ろ」

「おっ」

 確かに、そこには何ともかわいらしいような女性が写っていた。同年代の子だ。健一にどれだけのコミュ力があるかは知らんが、彼女なのだろう。

「一歳年下なんだ。かわいい可愛い後輩だぞ?」

「おめでとうございます」

「なぁに、お前だって決断したらすぐに一人や二人……」

 その時、コーラを持ってきていた希さんがあわっ、とよろめいて、健一の顔面にコーラをぶちまけてしまった。俺にも若干かかったぞ。

「あ、しょ、将さん、大丈夫ですか?」

「心配するのこっちじゃない、そっち」

「ふぇ!? す、すいませんでしたぁぁぁぁ!」

 希さんは慌てて健一の顔面を布巾でごしごしとした後、そそくさと、替えのコーラを持ってくるべく店の奥に引っ込んでしまった。健一は赤くなった頬をなでながら、俺にぼそっとつぶやく。

「ハーレムも大変だな」

「ハーレムちげぇ。どこにそんな証拠があると」

「後で学校で取り調べだ。あと、夏休み中理子さんと何があったかも聞く」

「結局お前らはそこなんだな」

 そうして夏休みは終わった。健一と話すの久しぶりだったな。


おねーちゃん欲しいお(´・ω・`)

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