ハイテンションな姉 後編 2
着替えを済ませた俺は、自分たちの部屋のドアを開ける。
「理子姉、着替え終わったぞ……」
ドアを開けた俺の目に、まだ上半身下着姿の美香姉が映った。
……なんてこった。
「……」
美香姉は、その場でぐすんと泣いてしまった。
隣にいた愛理姉は美香姉をなだめる。
「美香ちゃん。大丈夫だから」
何だか居づらくなった俺は、自分の財布を持つと急いで外へと出た。
しばらく温泉のゲームセンターで時間を潰していると、理子姉が来た。
「あ、将君」
「……美香姉は?」
俺は恐る恐る理子姉に聞いてみた。
「拗ねちゃった。何でも、自分の身体に自信がないんですって」
「いや、それは……」
確かに、美香姉はなだらかカーブだ。
だが、それはそれでいいんじゃないのか? いいんだよな。
美香姉、そこまで悲観する事はないと思うぞ。
「慰めてあげたら? 愛理ちゃんや百合姉じゃ無理だから」
「……行って来る」
部屋で、美香姉は布団の中にうずくまっていた。
俺はその近くに来る。
「美香姉。さっきはごめん」
「……」
布団の中からは、何にも聞こえてこない。
……どうすればいいんだよ。全く。
「将……」
美香姉は、弱々しくつぶやいた。
俺は布団の中に入った。美香姉を抱き、頭をそっと撫でてあげる。
これくらいしか、出来ないのか。
温泉を出て、ファミリーレストランに行く事になった。
発案者である愛理姉は胸を高鳴らせている。
「愛理姉。何食べるんだ?」
車の中で揺られながら、左に座っている愛理姉に聞いた。
「食べるんじゃないんだよ。料理をよく見るの」
「で、今度自分で作るのか?」
「うん」
愛理姉、凄いな。レストランが簡単に開ける実力だぞ。
しばらく走ると、ファミリーレストランが見えてきた。
俺たちが中に入ると、中にいた人たちが急に歓声を上げた。
あ、そっか。理子姉がいるんだっけ。
「理子さん!」
「理子さんだ!」
一瞬にして理子姉にフラッシュが集中して、少し俺は目を細める。
「写真は一人一枚までにしなさい」
理子姉がそう言うと、フラッシュが次第に止んでくる。
やがて、カメラのシャッター音はしなくなった。
「座るわよ。みんな」
「あ……うん」
俺たちは一番窓際の席を選んだ。
「さ。決めちゃいなさい」
理子姉は、大人の女性っぽく振舞っていた。
その姿に、俺は少し顔を赤らめてしまう。
……何だか理子姉が綺麗な大人に見えてきた。
「じゃあ……これ」
俺はハンバーグステーキを選んだ。
「私はこれ!」
愛理姉は鯖の味噌煮定食。
「……これ」
美香姉は玉子焼き定食。
「じゃあ、私はこれにするわ」
百合姉は大豆定食を頼んだ。
「私は、これね」
理子姉は、このレストランで一番人気のあるカツカレーを選んだ。